血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#164:輸血検査のマメ知識(高頻度抗原に対する抗体の検査の進め方)

間接抗グロブリン試験でパネル赤血球すべてと陽性反応を示し、高頻度抗原に対する抗体が疑われた場合、通常の同種抗体を同定するようにパネル赤血球との反応性だけでは特異性を決定できません。そのため、赤血球側からのアプローチとして抗原タイピングを実…

#163:輸血検査のマメ知識(DEL製剤輸血後の抗D産生例について)

抗D試薬を用いた間接抗グロブリン試験でD陰性と判定される殆どは、RHD遺伝子の欠損による真のD陰性ですが、東アジア系民族では、抗D試薬と陰性と判定された一部に、D抗原が微量に存在するDEL型という表現型があります。また、国内外でD陰性者へD陰性の赤血球…

#162:輸血検査のマメ知識(DEL型のRh表現型について)

DEL表現型は、赤血球上に微量のD抗原が存在しますが、抗D試薬との間接抗グロブリン試験で陰性となるため、通常の検査(D確認検査)ではRhD陰性と判定されます。DEL型の最終判定は抗D試薬を用いた吸着解離試験を行い、解離液から抗Dの特異性を確認された際にD…

#161:輸血検査のマメ知識(Rh表現型とD抗原数について)

RhD抗原は、Rh表現型の違いで赤血球一個あたりの抗原数が異なることが知られています。まれな血液型であるD--のD抗原数が最も多く、20万程度のD抗原数と考えられています(通常の表現型の約10倍程度多い)。そのため、希釈した抗D試薬との反応においても直接…

#160:輸血検査のマメ知識(RhE及びRhC抗原量について)

Rh血液型のCとc、Eとeは対立関係にある抗原のため、レアな表現型(D--やcD-など)を除けば、抗原はホモ接合かヘテロ接合の表現型となります(通常の表現型ではC-,c-やE-,e-はない)。C+,c-のC抗原はC+,c+よりも抗原量が多く、同様にE+,e-はE+,e+よりもE抗原…

#159:輸血検査のマメ知識(Rh表現型の頻度及び複合抗原について)

Rh血液型は、第一染色体上にあるRHD遺伝子とRHCE遺伝子にコードされ、それぞれの遺伝子によって合成されたRhD蛋白とRhCeEe蛋白は6つの細胞外ドメインを持つ膜貫通蛋白です。赤血球の血液型システムの中でも最も抗原数が多く、多型性に富んだ血液型です。Rh血…

#158:輸血検査のマメ知識(ABO亜型に対応する遺伝子って、どのくらいある?)

ABO血液型をコードする遺伝子は第9染色体長腕にあり、長さが19.5Kbpで7つのエキソンから構成されています。エキソン6及び7がA,B転移酵素活性に重要な部分で、A遺伝子(ABO*A1.01)とB遺伝子(ABO*B.01)では7箇所の塩基置換があり、そのうち4箇所がアミ…

#157:輸血検査のマメ知識(現在、赤血球上の血液型抗原はいくつある?)

2022年9月時点で、国際輸血学会(ISBT)に公認された血液型システムは44システムあり、354抗原が44システムのいずれかに属しています。血液型システム(系列)とは、同じ特徴(性質)を持つ血液型のグループであり、ヒト同種抗体で抗原が確認されること、遺…

#156:輸血検査のQ&A(反応増強剤無添加の60分加温-IATは実施する意義はあるのか?)

抗E、抗Dia、抗Fyb、抗Jkaなど日常検査で検出される臨床的意義ある抗体の多くは、主にIgG性抗体であり、LISS-IAT、PEG-IAT及び60分加温-IATなどの間接抗グロブリン試験で検出される抗体です。低力価の弱い抗体では、ポリエチレングリコールを添加したPEG-IAT…

#155:輸血検査のQ&A(Sal法(室温)で1+程度に反応した際に、37℃に加温して消失すれば冷式抗体と考えて問題ないか?)

不規則抗体検査において、低温(20℃や4℃)での反応相で強く反応し、37℃相では反応しない抗体を冷式抗体といい、対応抗原が陽性の血液を輸血しても臨床的には無害と考えられています。日常検査で遭遇し、これらの性質を示す抗体には、抗I、抗IH(抗HIともいう…

#154:輸血検査のQ&A(酵素法:ブロメリン一段法で全てのパネル赤血球と陽性の場合の対処は?)

日本人ではRh系の抗体(抗Eや抗c)の検出頻度が高い背景があります。また、ブロメリン一段法(以下、Bro法)やficin二段法はRh系抗体の検出感度が高く、産生初期の抗体などを検出できるということで、以前から好まれて使用されている背景もあります。しかし…

#153:輸血検査のQ&A(不規則抗体を同定した際、抗体価測定は必須ですか?)

通常、抗体の強さ(反応)が強い方が臨床的意義は高い(輸血上考慮しないといけない抗体)と考えられます。1+の凝集よりは4+の凝集を示す抗体の方が危険だ、と考えるはずです。従って、凝集強度(反応性)は輸血を考える際には重要です。1+〜3+の凝…

#152:輸血検査のQ&A(不規則抗体検査を実施していれば、交差適合試験は省略可能か?)

不規則抗体スクリーニング及び同定用パネル赤血球は、主な血液型(Rh、Duffy、Kidd、MNSなど)の抗原がホモ接合型の組み合わせで構成され、低力価の弱い抗体も検出するような工夫がされた不規則抗体検出用の赤血球試薬です。そのため、一部の抗原においては…

#151:輸血検査のQ&A(まれな血液型とは?)

通常、まれな血液型(まれな表現型)と呼んでいるのは、赤血球の高頻度抗原が陰性の表現型を言います。つまり、「高頻度抗原が陰性=まれな血液型」となります。現在、国際輸血学会(ISBT)で公認されている血液型は345抗原あり、43システムのいずれかに属し…

#150:輸血検査のQ&A(抗原陰性血が必要な抗体とは?)

通常、赤血球輸血を行う際には、患者とABO及びRhD血液型が同型の血液と交差適合試験を行い、陰性であれば輸血が実施されます。しかし、患者が過去に妊娠歴や輸血歴がある場合には、同種免疫によって赤血球抗原に対する抗体を保有している場合があり、交差適…

#149:輸血検査のQ&A(抗D試薬を用いた吸着解離試験を行う際の試薬の濃度は?)

ABO血液型判定において、オモテ・ウラ不一致を示す亜型(Bm、A1Bmなど)の際には、抗B試薬を用いた吸着解離試験を行い、赤血球上に微量に存在する抗原(B抗原)を証明します。また、同様に、B型の混合割合が少ない(1%以下)血液型キメラ、例えばB/O(1:99…

#148:輸血検査のQ&A(抗Dとの反応において直後判定とIATの凝集強度が同程度の場合、weak Dを考えますか?)

抗D試薬を用いて試験管法でRhD判定を行う際には、試験管に抗D試薬を滴下し、その後、被検者の赤血球浮遊液を1滴加えて、よく撹拌後、遠心判定します。殆どの場合、3+〜4+の凝集が観察され、D陽性と判定されます。しかし、w+〜1+程度の凝集の場合は、w…

#147:輸血検査のQ&A(抗D試薬と間接抗グロブリン試験で3+程度の凝集の場合、weak Dを考慮する必要がありますか?)

抗D試薬を用いて試験管法でRhD判定を行う際、抗D試薬と被検者赤血球を混和し、遠心判定すると通常のD陽性は3+以上の凝集が観察されます。凝集反応が陰性又は弱陽性の場合は、引き続き37℃で加温後、間接抗グロブリン試験(D確認試験)を行い最終判定しま…

#146:輸血検査のQ&A(Le(a+b-)型の個体では唾液中からABH型物質は検出できませんか?)

通常、唾液中には多量のABH型物質が含まれているため、唾液中の型物質を調べることで、ある程度ABO血液型が判定できます。A型の唾液にはAとH、B型の唾液にはBとH、AB型の唾液にはAとBとH、O型の唾液にはH型物質が含まれます。唾液検査は通常、亜型検査の一部…

#145:輸血検査のQ&A(血漿中のA,B転移酵素活性と赤血球A,B抗原量は相関するの?)

結論からいうと、赤血球の抗原量と血漿中のA,B転移酵素活性には相関がありません。赤血球の抗原量が多少少ない一部の例においては血漿中の転移酵素活性が若干低下している場合もありますが、基本的には赤血球の抗原量と血漿中の転移酵素活性は相関しません。…

#144:輸血検査のQ&A(過去に造血幹細胞移植を行った患者さんの本来の血液型は?)

白血病やMDS(骨髄異形成症候群)などの血液疾患で造血幹細胞移植を行った際、患者さんとABO同型ドナーから移植した場合は、移植後ABO血液型に変化はありません。しかし、ABOが異なるドナーから移植した場合には、移植後に赤血球はドナーの血液型に置き換わ…

#143:輸血検査のQ&A(血液型キメラの際、本来の血液型はどっち?)

血液型キメラとは、一つの個体の中に由来の異なる2つの造血幹細胞が存在することです。例えば、A型とB型の造血幹細胞が一つの個体の中に一生涯共存するため、それぞれの造血幹細胞から分化した細胞(A型赤血球とB型赤血球)が混在する状態です。身近な例で…

#142:輸血検査のQ&A(Ulexレクチンとの反応でA2型はなぜ4+になるのか?)

Ulexレクチン(抗Hレクチン)は、H抗原と反応するレクチンであり、H抗原が多い赤血球と反応します。H抗原は、AやB抗原の土台となる抗原であるため、A、B抗原がないO型ではH抗原が一番多く、逆にA、B抗原があるA1B型が一番少なくなります。通常の赤血球上には…

#141:輸血検査のQ&A(A3とAx、B3とBxはどのように鑑別するの?)

A3とAxはA型の亜型であり、B3とBxはB型の亜型です。どちらもオモテ検査(試験管法)では、抗A又は抗Bと弱い反応(w+〜2+)を示し、スライド法ではしばらく観察しないと凝集が見えてきません。教科書的には抗原量の多い方がA3やB3であり、さらに少ないも…

#140:輸血検査のQ&A(ABOウラ検査が弱い、それって亜型の可能性ある?)

ABO血液型は、オモテ検査とウラ検査が一致した場合のみ血液型が判定されます。定義はありませんが、通常の表現型では、オモテ検査は3+以上の凝集が、ウラ検査でも2+以上の凝集が観察されます。従って、逆を言えば、オモテ検査の2+以下、ウラ検査の1+…

#139:輸血検査のQ&A(抗A又は抗Bの吸着解離が必要なケースは?)

ABO血液型判定のオモテ検査は、被検者赤血球と抗A及び抗B試薬との反応性(凝集の有無)から決定されます。しかし、赤血球上のA又はB抗原が非常に少ない亜型では抗A又は抗B試薬と直接凝集反応を呈さず、一見抗原が無いように見えてしまいます。例えば、日本人…

#138:輸血検査のQ&A(亜型は遺伝子検査のみで確定できるか?)

ABO血液型には多種の亜型が存在しますが、血清学検査で亜型を分類するには多くの経験と亜型に関する知識が必要になります。抗A、抗Bのオモテ検査の反応性、スライド法による部分凝集の有無、ウラ検査の不規則性抗A1又は抗Bの有無、吸着解離試験、血漿中の糖…

#137:輸血検査のQ&A(亜型の患者さんへの輸血)

ABO亜型とは、赤血球上のA型又はB型(又は両方)の抗原が先天的に減少している表現型をいいます。血液疾患(AML、MDSなど)等で一過性(後天的)にABH抗原が減弱した表現型は亜型とは言いません。但し、両者の鑑別は非常に難しく、とくに被検者が血液疾患等…

#136:ケーススタディー(Episode:36)DAT陽性の原因は自己抗体だけではない(鑑別のための検査方法)

直接抗グロブリン試験(以下、DAT)は、赤血球に既に結合している抗体又は免疫グロブリンの存在を明らかにする検査です。一方、間接抗グロブリン試験(以下、IAT)は、被検者血漿(血清)中に抗体等が存在するかを調べる検査です。用語的には「直接」「間接…

#135:ケーススタディー(Episode:35)B型患者が過去にA型ドナーから造血幹細胞移植を行った例

ABO血液型判定は、抗A及び抗B試薬を用いて被検者の赤血球上の抗原を調べる「オモテ検査」と既知のA1型赤血球及びB型赤血球試薬を用いて、被検者血漿(血清)中の規則抗体である抗A又は抗Bの有無を調べる「ウラ検査」があります。オモテ・ウラ検査の結果が一…