血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#057:Kell抗原減少が特徴のMcLeod表現型の(はてな?)

Kx血液型はKx抗原の一種類で構成される19番目の血液型システム(ISBT019)です。Kx抗原はX染色体がコードするXK蛋白上に抗原が存在します。Kx抗原が陰性の赤血球ではKell血液型抗原が減少し、McLeod型(表現型)とも呼ばれています。ここでは、Kell抗原減少…

#056:抗Lan保有者への輸血の対応の(はてな?)

Lan抗原は赤血球上の高頻度抗原であり、抗原を担う蛋白はABC輸送体ファミリーに属するABCB6に存在しています(JR血液型はABCG2)。ISBT(国際輸血学会)では33番目の血液型システムとして登録されています。Lan-型は世界的にもまれな血液型であり、抗Lanの報…

#055:試験管内溶血が観察される抗P、抗PP1PKの(はてな?)

抗I、抗M、抗P1などの低温反応性のIgM性の不規則抗体を保有している血漿(血清)を用いたABO血液型判定のウラ検査では、ABO型に関係なく凝集し、一見ウラ検査がO型に判定される場合があります。しかし、通常実施しているABOウラ検査や不規則抗体スクリーニン…

#054:P1PK血液型とGloboside血液型の(はてな?)

P血液型(P1)は1927年にLandsteinerとLevineがヒト赤血球免疫ウサギ血清中の抗体を用いて発見した血液型です。近年P転移酵素,Pk転移酵素を担う遺伝子がクローニングされ、その遺伝的背景が明らかとなりP血液型はP1PK血液型にシステム名が変わりました。一…

#053:一過性に抗原が陰性化し、抗IFCを保有した例の(はてな?)

Cromer血液型は、ISBT(国際輸血学会)では21番目の血液型システムとして、現在19種類の抗原が属し、そのうち、Cra、Tca、Dra、Esa、IFC、WESb、UMCを含む16種類の高頻度抗原と低頻度抗原であるTcb、Tcc、WESaの3抗原で構成されています。この中で、日本人に…

#052:凝集の強弱が特徴のKnops系抗体の(はてな?)

Knops(ノップス)血液型は、ISBT(国際輸血学会)で22番目の血液型システム(ISBT022)であり、9つの抗原が存在します。Knops抗原を担う分子は、補体レセプター1(CR1:complement receptor 1)に存在します。ここでは、凝集の強弱が特徴のKnops系抗体の(…

#051:抗D様の反応性を示す抗LWの(はてな?)

LW血液型は、ISBT(国際輸血学会)で16番目の血液型システム(ISBT016)として登録されています。表現型は、LW(a+b-)、LW(a+b+)、LW(a-b+)が知られ、人種を問わず遺伝的なLW(a-)は世界的にも稀であり日本人でも1例のみ知られている。通常抗LWといっているの…

#050:抗Jra、抗JMH、抗KANNOの単球貪食試験の(はてな?)

抗Jra、抗JMH、抗KANNOは赤血球高頻度抗原に対する抗体であり、日本人から比較的多く検出される抗体です。抗Jra、抗KANNOは妊娠歴のある女性から検出率が高く、抗JMHは高齢者からの検出率が比較的高い抗体です。これらの抗体はHTLA(High Titer Low Avidity…

#049:妊婦が保有する抗KANNOの(はてな?)

抗KANNOは、日本人から検出される赤血球高頻度抗原に対する抗体の中で、抗Jra、抗JMHに次いで検出率が高い高頻度抗原に対する抗体です。抗Jraと同様に女性(とくに妊婦)から検出されることが多い抗体です。ここでは、妊婦が保有する抗KANNOの(はてな?)に…

#048:KANNO抗原を担うプリオン蛋白の(はてな?)

約30年間、抗原を担う分子が解明されなかったKANNO抗原ですが、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いた手法によって、第20番染色体短腕(20p13)のPRNP遺伝子にコードされたプリオン蛋白上に存在することがようやく分かりました。プリオン遺伝子(PRNP遺伝子…

#047:KANNO抗原の原因遺伝子解明の(はてな?)

KANNO抗原分子の解析は、これまでに免疫沈降法やイムノブロッティング法が検討されましたが解明されていませんでした。そもそも抗KANNOはHTLA抗体の性質のため抗原抗体反応が弱いことが要因でした。そこで、ゲノム解析から絞り込む方法を用いてKANNO抗原を担…

#046:新たな血液型システムとして国際認定されたKANNO血液型の(はてな?)

1991年に既知の特異性と合致しない高頻度抗原に対する抗体が検出され、対応する抗原を発端者に因み暫定的にKANNO抗原、抗体を抗KANNOと名付けました。当時新たな血液型の可能性が示唆され、その後もKANNO抗原分子の解析が行われましたが解明には至りませんで…

#045:抗JMH+抗Sの抗体同定例の(はてな?)

通常、抗JMHなどの高頻度抗原に対する抗体を保有した血漿(血清)では、不規則抗体同定検査及び交差適合試験(主試験)の間接抗グロブリン試験において、使用したすべての赤血球と凝集反応を示します。そのため、臨床的意義のある主な血液型抗原に対する抗体…

#044:JMH抗原と抗JMHの(はてな?)

JHM抗原は、赤血球上に存在する高頻度抗原でありISBTの血液型リストでは26番目(ISBT026)の血液型システムです。JMHは、抗体保有者のJohn Milton Hagenに因んで命名されました。JMH-型の殆どは高齢者に多く見られ、後天的(又は一過性)にJMH抗原が減弱し…

#043:抗Ch、抗Rgの同定方法の(はてな?)

抗Ch、抗Rgは間接抗グロブリン試験でのみ検出される抗体であり、検査した赤血球間で凝集の強弱が著しく、抗体価が高いにもかかわらず、Rh系抗体などの様な強固な凝集を示すことは稀で試験管を振っていくうちにどんどん崩れてしまうHTLA(High Titer Low Avid…

#042:Chido、Rodgers血液型とその抗体の特徴の(はてな?)

Chido(Ch)とRodgers(Rg)抗原は、補体成分のC4と関連があり、C4AにはRg抗原が、C4BにはCh抗原が存在します。Chido/Rodgers血液型は本質的には赤血球膜に発現する抗原ではなく、補体成分が赤血球上に結合し抗原性を示します。そのため、個々の血球によって抗原…

#041:抗Jraによる胎児貧血の(はてな?)

抗Jra保有者へやむを得ずJra抗原陽性赤血球を輸血した際、その後抗体価の顕著な上昇を認めますが、遅発性溶血性輸血反応(DHTR)を呈する例は稀であるため、抗Jraの臨床的意義は低いという認識になってきています。しかし、JR母児不適合妊娠では、重篤な胎児…

#040:抗Jra保有者はなぜ女性に多い!の(はてな?)

抗Jraは、赤血球上に存在する高頻度抗原であるJra抗原に対する抗体であり、Jr(a-)型個体が輸血又は妊娠による同種免疫で抗体を保有します。日本人から検出されている高頻度抗原に対する抗体の内訳をみると圧倒的に抗Jraの検出率が高く、検出された高頻度抗原…

#039:抗Jraの性状及びHTLA抗体の(はてな?)

抗Jraは、赤血球上のJra抗原を欠いたJr(a-)型(まれな血液型)個体が妊娠又は輸血による同種免疫によって保有する高頻度抗原に対する抗体です。通常、抗Jraは間接抗グロブリン試験において、検査した全ての同種赤血球と陽性反応を示します(自己対照赤血球は…

#038:Jr(a-)型及びJr(a+w)型の遺伝子背景の(はてな?)

赤血球膜上の高頻度抗原であるJra抗原はABCG2遺伝子によってコードされています。ABCG2遺伝子は父親と母親から1つずつ遺伝子を受け継ぎますが、ナル型遺伝子のホモ接合の場合にJr(a-)型の表現型(まれな血液型)になります。従って、両親の一方からJr(a+)型…

#037:JR血液型が確立されるまでの(はてな?)

Jra抗原は赤血球膜上に存在する高頻度抗原であり、Jr(a-)型個体はまれな血液型です。日本人から検出される高頻度抗原に対する抗体の中で、抗Jraは6割程度を占めるメジャーな抗体ですが、10年前まではJra抗原を担うタンパクやその原因遺伝子も未解明でした。…

#036:自己抗体によるDAT陽性赤血球の体内破壊の(はてな?)

これまで、#30から#35の記事に抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)の性状、自己抗体の血液型特異性、同種抗体の混在を調べる吸着方法、DAT陽性のEA(酸)処理及び単球貪食試験による自己抗体の臨床的意義についてシェアしてきました。ここでは、最終として…

#035:単球貪食試験による自己抗体評価の(はてな?)

温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)は、自己赤血球を含む全ての赤血球を一様に凝集するため、パネル赤血球との反応性だけでは自己抗体の臨床的意義(輸血した血液の生体内での溶血)を予測することは困難です。ここでは、単球貪食試験による自己抗体評…

#034:DAT陽性赤血球のEA(酸)処理の(はてな?)

直接抗グロブリン試験(以下、DAT)が陽性になる原因は様々ですが、抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)が感作した場合もDAT陽性となります。DAT陽性のままでは、間接抗グロブリン試験で判定する血液型タイピングができません。また、自己赤血球で自己抗体を…

#033:自己赤血球を用いた自己抗体吸着の(はてな?)

血漿(血清)中に、間接抗グロブリン試験で3+以上の反応を示す温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)が存在した場合、そのままでは輸血上重要な同種抗体の混在を確認することができません。そのため、通常は自己赤血球又は同種赤血球を用いて自己抗体を吸…

#032:自己抗体に混在した同種抗体の検出の(はてな?)

自己抗体を保有した血漿(血清)の反応は、通常使用した全ての赤血球と陽性反応を示すため、同種抗体が混在しても簡単には見極めができません。抗体価の低い(反応が弱い)自己抗体+抗体価の高い(反応が強い)同種抗体の混在であれば、その反応強度からあ…

#031:自己抗体の血液型特異性の(はてな?)

温式の抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)の殆どは、自己赤血球を含む全ての赤血球と反応し、その殆どは赤血球膜蛋白(Rh蛋白、Band3、GPAなど)を認識するpan-reactiveな性質(血液型特異性のない性質)を示す自己抗体です。しかし、時々Rh抗原(D,C,E,c,e…

#030:pan-reactiveな自己抗体の(はてな?)

通常検出される殆どの温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)は、主要な血液型抗原に関係なく検査したすべての赤血球と陽性反応を示すため、pan-reactiveな自己抗体(または血液型特異性のない自己抗体)と呼ばれています。しかし、まれな表現型赤血球を用…

#029:抗I、抗HI保有者のABOウラ検査の(はてな?)

抗Iは寒冷凝集素とも呼ばれる冷式自己抗体です。赤血球上のI抗原は生後から成人にかけてi抗原からI抗原へ変化するため、通常は成人赤血球のI抗原は陽性です(成人のI-型はまれな血液型です)。抗Iは自分の赤血球上のI抗原とも反応するため冷式自己抗体と分類…

#028:ABOウラ検査の予期せぬ反応の(はてな?)

ABO血液型の判定には、「オモテ検査」と「ウラ検査」があります。ウラ検査は被検者血漿(血清)中の抗A、抗Bを検出する検査ですが、オモテ検査から予想される結果とウラ検査の結果が異なる場合があります。ここでは、ABOウラ検査の予期せぬ反応についてシェ…