血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#156:輸血検査のQ&A(反応増強剤無添加の60分加温-IATは実施する意義はあるのか?)

抗E、抗Dia、抗Fyb、抗Jkaなど日常検査で検出される臨床的意義ある抗体の多くは、主にIgG性抗体であり、LISS-IAT、PEG-IAT及び60分加温-IATなどの間接抗グロブリン試験で検出される抗体です。低力価の弱い抗体では、ポリエチレングリコールを添加したPEG-IAT…

#155:輸血検査のQ&A(Sal法(室温)で1+程度に反応した際に、37℃に加温して消失すれば冷式抗体と考えて問題ないか?)

不規則抗体検査において、低温(20℃や4℃)での反応相で強く反応し、37℃相では反応しない抗体を冷式抗体といい、対応抗原が陽性の血液を輸血しても臨床的には無害と考えられています。日常検査で遭遇し、これらの性質を示す抗体には、抗I、抗IH(抗HIともいう…

#154:輸血検査のQ&A(酵素法:ブロメリン一段法で全てのパネル赤血球と陽性の場合の対処は?)

日本人ではRh系の抗体(抗Eや抗c)の検出頻度が高い背景があります。また、ブロメリン一段法(以下、Bro法)やficin二段法はRh系抗体の検出感度が高く、産生初期の抗体などを検出できるということで、以前から好まれて使用されている背景もあります。しかし…

#153:輸血検査のQ&A(不規則抗体を同定した際、抗体価測定は必須ですか?)

通常、抗体の強さ(反応)が強い方が臨床的意義は高い(輸血上考慮しないといけない抗体)と考えられます。1+の凝集よりは4+の凝集を示す抗体の方が危険だ、と考えるはずです。従って、凝集強度(反応性)は輸血を考える際には重要です。1+〜3+の凝…

#152:輸血検査のQ&A(不規則抗体検査を実施していれば、交差適合試験は省略可能か?)

不規則抗体スクリーニング及び同定用パネル赤血球は、主な血液型(Rh、Duffy、Kidd、MNSなど)の抗原がホモ接合型の組み合わせで構成され、低力価の弱い抗体も検出するような工夫がされた不規則抗体検出用の赤血球試薬です。そのため、一部の抗原においては…

#151:輸血検査のQ&A(まれな血液型とは?)

通常、まれな血液型(まれな表現型)と呼んでいるのは、赤血球の高頻度抗原が陰性の表現型を言います。つまり、「高頻度抗原が陰性=まれな血液型」となります。現在、国際輸血学会(ISBT)で公認されている血液型は345抗原あり、43システムのいずれかに属し…

#150:輸血検査のQ&A(抗原陰性血が必要な抗体とは?)

通常、赤血球輸血を行う際には、患者とABO及びRhD血液型が同型の血液と交差適合試験を行い、陰性であれば輸血が実施されます。しかし、患者が過去に妊娠歴や輸血歴がある場合には、同種免疫によって赤血球抗原に対する抗体を保有している場合があり、交差適…

#149:輸血検査のQ&A(抗D試薬を用いた吸着解離試験を行う際の試薬の濃度は?)

ABO血液型判定において、オモテ・ウラ不一致を示す亜型(Bm、A1Bmなど)の際には、抗B試薬を用いた吸着解離試験を行い、赤血球上に微量に存在する抗原(B抗原)を証明します。また、同様に、B型の混合割合が少ない(1%以下)血液型キメラ、例えばB/O(1:99…

#148:輸血検査のQ&A(抗Dとの反応において直後判定とIATの凝集強度が同程度の場合、weak Dを考えますか?)

抗D試薬を用いて試験管法でRhD判定を行う際には、試験管に抗D試薬を滴下し、その後、被検者の赤血球浮遊液を1滴加えて、よく撹拌後、遠心判定します。殆どの場合、3+〜4+の凝集が観察され、D陽性と判定されます。しかし、w+〜1+程度の凝集の場合は、w…

#147:輸血検査のQ&A(抗D試薬と間接抗グロブリン試験で3+程度の凝集の場合、weak Dを考慮する必要がありますか?)

抗D試薬を用いて試験管法でRhD判定を行う際、抗D試薬と被検者赤血球を混和し、遠心判定すると通常のD陽性は3+以上の凝集が観察されます。凝集反応が陰性又は弱陽性の場合は、引き続き37℃で加温後、間接抗グロブリン試験(D確認試験)を行い最終判定しま…

#146:輸血検査のQ&A(Le(a+b-)型の個体では唾液中からABH型物質は検出できませんか?)

通常、唾液中には多量のABH型物質が含まれているため、唾液中の型物質を調べることで、ある程度ABO血液型が判定できます。A型の唾液にはAとH、B型の唾液にはBとH、AB型の唾液にはAとBとH、O型の唾液にはH型物質が含まれます。唾液検査は通常、亜型検査の一部…

#145:輸血検査のQ&A(血漿中のA,B転移酵素活性と赤血球A,B抗原量は相関するの?)

結論からいうと、赤血球の抗原量と血漿中のA,B転移酵素活性には相関がありません。赤血球の抗原量が多少少ない一部の例においては血漿中の転移酵素活性が若干低下している場合もありますが、基本的には赤血球の抗原量と血漿中の転移酵素活性は相関しません。…

#144:輸血検査のQ&A(過去に造血幹細胞移植を行った患者さんの本来の血液型は?)

白血病やMDS(骨髄異形成症候群)などの血液疾患で造血幹細胞移植を行った際、患者さんとABO同型ドナーから移植した場合は、移植後ABO血液型に変化はありません。しかし、ABOが異なるドナーから移植した場合には、移植後に赤血球はドナーの血液型に置き換わ…

#143:輸血検査のQ&A(血液型キメラの際、本来の血液型はどっち?)

血液型キメラとは、一つの個体の中に由来の異なる2つの造血幹細胞が存在することです。例えば、A型とB型の造血幹細胞が一つの個体の中に一生涯共存するため、それぞれの造血幹細胞から分化した細胞(A型赤血球とB型赤血球)が混在する状態です。身近な例で…

#142:輸血検査のQ&A(Ulexレクチンとの反応でA2型はなぜ4+になるのか?)

Ulexレクチン(抗Hレクチン)は、H抗原と反応するレクチンであり、H抗原が多い赤血球と反応します。H抗原は、AやB抗原の土台となる抗原であるため、A、B抗原がないO型ではH抗原が一番多く、逆にA、B抗原があるA1B型が一番少なくなります。通常の赤血球上には…

#141:輸血検査のQ&A(A3とAx、B3とBxはどのように鑑別するの?)

A3とAxはA型の亜型であり、B3とBxはB型の亜型です。どちらもオモテ検査(試験管法)では、抗A又は抗Bと弱い反応(w+〜2+)を示し、スライド法ではしばらく観察しないと凝集が見えてきません。教科書的には抗原量の多い方がA3やB3であり、さらに少ないも…

#140:輸血検査のQ&A(ABOウラ検査が弱い、それって亜型の可能性ある?)

ABO血液型は、オモテ検査とウラ検査が一致した場合のみ血液型が判定されます。定義はありませんが、通常の表現型では、オモテ検査は3+以上の凝集が、ウラ検査でも2+以上の凝集が観察されます。従って、逆を言えば、オモテ検査の2+以下、ウラ検査の1+…

#139:輸血検査のQ&A(抗A又は抗Bの吸着解離が必要なケースは?)

ABO血液型判定のオモテ検査は、被検者赤血球と抗A及び抗B試薬との反応性(凝集の有無)から決定されます。しかし、赤血球上のA又はB抗原が非常に少ない亜型では抗A又は抗B試薬と直接凝集反応を呈さず、一見抗原が無いように見えてしまいます。例えば、日本人…

#138:輸血検査のQ&A(亜型は遺伝子検査のみで確定できるか?)

ABO血液型には多種の亜型が存在しますが、血清学検査で亜型を分類するには多くの経験と亜型に関する知識が必要になります。抗A、抗Bのオモテ検査の反応性、スライド法による部分凝集の有無、ウラ検査の不規則性抗A1又は抗Bの有無、吸着解離試験、血漿中の糖…

#137:輸血検査のQ&A(亜型の患者さんへの輸血)

ABO亜型とは、赤血球上のA型又はB型(又は両方)の抗原が先天的に減少している表現型をいいます。血液疾患(AML、MDSなど)等で一過性(後天的)にABH抗原が減弱した表現型は亜型とは言いません。但し、両者の鑑別は非常に難しく、とくに被検者が血液疾患等…

#136:ケーススタディー(Episode:36)DAT陽性の原因は自己抗体だけではない(鑑別のための検査方法)

直接抗グロブリン試験(以下、DAT)は、赤血球に既に結合している抗体又は免疫グロブリンの存在を明らかにする検査です。一方、間接抗グロブリン試験(以下、IAT)は、被検者血漿(血清)中に抗体等が存在するかを調べる検査です。用語的には「直接」「間接…

#135:ケーススタディー(Episode:35)B型患者が過去にA型ドナーから造血幹細胞移植を行った例

ABO血液型判定は、抗A及び抗B試薬を用いて被検者の赤血球上の抗原を調べる「オモテ検査」と既知のA1型赤血球及びB型赤血球試薬を用いて、被検者血漿(血清)中の規則抗体である抗A又は抗Bの有無を調べる「ウラ検査」があります。オモテ・ウラ検査の結果が一…

#134:ケーススタディー(Episode:34)頻回又は直近に輸血歴のある患者から検出された抗体の鑑別

通常、同種抗体は自己赤血球の陰性抗原に対して、輸血又は妊娠による免疫刺激によって抗体が産生されます(例えば、E―型の人が抗Eを保有、E+型の人が同種抗Eは保有しない)。不規則抗体同定は、通常不規則抗体同定用パネル赤血球(市販品10~11本組)を用い…

#133:ケーススタディー(Episode:33)PEG-IATによる非特異反応を軽減し、効果的に抗体を検出する策

ポリエチグリコール(以下、PEG)を用いた間接抗グロブリン試験(以下、PEG-IAT)は、低力価の抗体を感度良く検出するメリットがありますが、デメリットとして赤血球抗体以外のγグロブリン等の影響を受けて非特異反応(弱陽性の凝集)を呈することがあります…

#132:ケーススタディー(Episode:32)血中免疫グロブリン量増加の影響によるPEG-IATの非特異反応

連銭形成とは、コインを重ねてずらした様に赤血球が連なって見える現象です。この現象は、多発性骨髄腫やマクログロブリン血漿、肝硬変など血中の免疫グロブリン(主にγグロブリン)が増加した疾患の患者さんの血漿(血清)で確認されます。赤血球上の表面は…

#131:ケーススタディー(Episode:31)ABO血液型判定でウラの反応が弱い時に実施すべきこと

健常人約100万検体のABO血液型判定を自動検査機器で実施した際、7,513件(0.75%)がオモテ又はウラ検査に異常(予期せぬ反応)を認め、ABO血液型が確定出来ませんでした。7,513検体の内訳として、15%がオモテ検査の異常(若干抗原量が少ない範疇の検体を含…

#130:ケーススタディー(Episode:30)オモテO型でウラ弱の際の考え方と解釈

ABO血液型の判定は、赤血球上のA又はB抗原の有無を調べるオモテ検査と、血漿(血清)中に存在する規則抗体(抗A、抗B)を調べるウラ検査があり、オモテとウラの結果が一致した場合のみ血液型を確定するロジックになっています。従って、オモテ検査で反応が弱…

#129:ケーススタディー(Episode:29)抗Dと微細な凝集が観察された際に考えること

Rh血液型の判定は被検者赤血球と抗D試薬の反応で判定しますが、直後判定が陰性の場合は、引き続き間接抗グロブリン試験を行い最終判定します。しかし、時々検体1のように間接抗グロブリン試験で一部の抗D試薬とw+程度の微弱な凝集が観察される場合がありま…

#128:ケーススタディー(Episode:28)抗Dを用いたスライド法はRhキメラ判定には有用

RhDの血液型判定において、D+とD-の血液型キメラの際、D陽性の割合が概ね30%以下では、間接抗グロブリン試験を実施するとD陽性が少ないために一見weak Dのような凝集が観察されます。逆にD陰性の割合が少ない(概ね20%程度以下)場合は、抗DとD陽性赤血…

#127:ケーススタディー(Episode:27)抗Dを用いたIAT判定の凝集像が特徴的なRhD血液型キメラ

RhD血液型の判定は、輸血検査の日常検査では通常ABO血液型と一緒に実施されています。日本人ではRhD陽性頻度が高く、RhD陰性は約0.5%程度(200人に1人程度)であるため、殆どは抗D試薬と陽性を示すRhD陽性となります。試験管法で実施する場合は、抗D試薬と…