血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#130:ケーススタディー(Episode:30)オモテO型でウラ弱の際の考え方と解釈

ABO血液型の判定は、赤血球上のA又はB抗原の有無を調べるオモテ検査と、血漿(血清)中に存在する規則抗体(抗A、抗B)を調べるウラ検査があり、オモテとウラの結果が一致した場合のみ血液型を確定するロジックになっています。従って、オモテ検査で反応が弱…

#129:ケーススタディー(Episode:29)抗Dと微細な凝集が観察された際に考えること

Rh血液型の判定は被検者赤血球と抗D試薬の反応で判定しますが、直後判定が陰性の場合は、引き続き間接抗グロブリン試験を行い最終判定します。しかし、時々検体1のように間接抗グロブリン試験で一部の抗D試薬とw+程度の微弱な凝集が観察される場合がありま…

#128:ケーススタディー(Episode:28)抗Dを用いたスライド法はRhキメラ判定には有用

RhDの血液型判定において、D+とD-の血液型キメラの際、D陽性の割合が概ね30%以下では、間接抗グロブリン試験を実施するとD陽性が少ないために一見weak Dのような凝集が観察されます。逆にD陰性の割合が少ない(概ね20%程度以下)場合は、抗DとD陽性赤血…

#127:ケーススタディー(Episode:27)抗Dを用いたIAT判定の凝集像が特徴的なRhD血液型キメラ

RhD血液型の判定は、輸血検査の日常検査では通常ABO血液型と一緒に実施されています。日本人ではRhD陽性頻度が高く、RhD陰性は約0.5%程度(200人に1人程度)であるため、殆どは抗D試薬と陽性を示すRhD陽性となります。試験管法で実施する場合は、抗D試薬と…

#126:ケーススタディー(Episode:26)抗Fyaや抗Dibが自己抗体と混在した場合、同種赤血球では全て吸着される

今回の例も、被検者のDATが陽性(2+)であり、パネル赤血球とは全て陽性、また自己対照赤血球も4+と増強することから、概ね自己抗体の存在が推測される例です。パネル赤血球との反応に特に強弱がないことから、血液型特異性のない(pan-reactive)自己抗体…

#125:ケーススタディー(Episode:25)自己抗体に混在した抗Jraの同定

温式自己抗体(以下、自己抗体)は自己赤血球を含む全ての同種赤血球と反応します。一方、高頻度抗原に対する抗体は自己赤血球とは陰性で同種赤血球とはすべて陽性となります(対応する抗原が陰性のまれな血液型赤血球以外)。高頻度抗原に対する抗体保有者…

#124:ケーススタディー(Episode:24)自己抗体の吸着操作における予期せぬ反応

血漿(血清)中に自己抗体が存在し、直接抗グロブリン試験(DAT)が陽性の場合、自己抗体を吸着除去する際には、まずは自己赤血球を酸処理(EA処理)し、DATを弱陽性にした自己赤血球を用いて自己抗体を吸着除去するというのが、教本等に記載されています。…

#123:ケーススタディー(Episode:23)pan-reactive自己抗体に混在した同種抗Eと自己抗eの同定

自己抗体の血液型特異性は、同種抗体とは異なり自分の赤血球上に存在する抗原に対して特異性を示す抗体です。例えば、R1R1(D+C+E-c+e+)型個体であれば、抗D、抗C、抗e、R2R2(D+C-E+c+e-)型の場合は、抗D、抗E、抗cなどの血液型特異性を有する自己抗体を…

#122:ケーススタディー(Episode:22)自己抗体に混在した同種抗体の同定

自己抗体を保有した血漿(血清)は、使用した全ての赤血球と陽性反応を示すため、同種抗体が混在しても簡単には判別できません。抗体価が低い(反応が弱い)自己抗体+抗体価の高い(反応が強い)同種抗体の混在であれば、その反応強度からある程度、特異性…

#121:ケーススタディー(Episode:21)自己抗体保有者の抗体同定

通常、自己抗体は自己赤血球を含む全ての赤血球を一様に凝集するため、不規則抗体同定を困難にします。自己抗体が反応する代表的な抗原は、赤血球上のBand3、Rh蛋白、GPA(グリコフォリンA)などであり、これらの蛋白は全てのヒトの赤血球上に存在するため…

#120:ケーススタディー(Episode:20)A/O血液型キメラに類似した疾患によるA抗原減弱例

ABOオモテ検査を実施した際に、明瞭な凝集はあるものの、背景に濁りを生じる場合に、考えることは主に3つ、ABO亜型、血液型キメラ、疾患による抗原減弱です。その他にもO型の異型適合血液の輸血や造血幹細胞移植後などもありますが、日常的に遭遇するのは、…

#119:ケーススタディー(Episode:19)抗A1レクチンによるA型とO型の血液型キメラの分離

ある患者さんが整形外科領域の手術のため4単位の赤血球製剤のオーダーがありました。ABO、Rh血液型及び不規則抗体スクリーニングを実施した際、ABO血液型判定において、オモテ検査の抗Aに部分凝集(MF)(上記写真の反応)、抗Bは陰性で、ウラ検査は通常のA…

#118:ケーススタディー(Episode:18)A型とO型の血液型キメラの特徴

血液型キメラとは、同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混在していること、つまり2種類の接合子(zygote)が存在している状態をいいます。例えばA型とO型の血液型キメラの例では、抗A試薬に陽性(4+)(抗B試薬は陰性)を示します。スライド法などで…

#117:ケーススタディー(Episode:17)抗Bとの凝集開始時間がかなり遅延するAB型の亜型(A1B3型)

この2例は、A1B3型の2例です。どちらもスライド法による抗Bとの反応は、混和後すぐには凝集が観察されず、数十秒後にようやく微細な凝集が観察されるようになります。2分後の反応態度が写真の凝集です。混和直後の判定では抗B試薬とは一見陰性に見える…

#116:ケーススタディー(Episode:16)不規則性の抗Bを保有するAB型の亜型(cisA2B3)

試験管法のオモテ検査において、抗Aと4+、抗Bとは2+~3+で、ウラ検査でB型赤血球に1+~2+程度の反応を示し、本質的にはAB型と考えられますが血漿中に不規則性の抗Bを保有している例があります。オモテ検査の抗Bとの反応がB3レベルであることから、A1B…

#115:ケーススタディー(Episode:15)O型が保有する抗A,Bの反応がポイントになるBx型

ABO血液型には、多種多様の亜型が存在します。オモテ検査の抗Aと陰性、抗Bとはw+~1+程度の微弱な反応を認め、ウラ検査ではA1型赤血球と4+、B型赤血球と1+~2+と反応し、オモテ・ウラ不一致の場合があります。オモテ検査の抗Bとの反応が顕著に弱…

#114:ケーススタディー(Episode:14)血漿中の転移酵素活性の有無は亜型判定の一助になる(B3型)

オモテ検査の抗A又は抗Bと微弱な凝集を示し、スライド法では凝集開始時間が明らかに遅延している場合、亜型の可能性があります。稀に血液疾患(AML、MDS等)の一部は、亜型と鑑別ができない程度まで抗原が減弱する場合もありますので、まずは被検者の背景(…

#113:ケーススタディー(Episode:13)血液疾患による典型的なB抗原減弱例

オモテ検査で抗B試薬と部分凝集を示し、ウラ検査では通常のB型の検体に遭遇する場合があります。スライド法による抗B試薬との反応において、凝集開始時間は若干遅く、時間経過とともに中程度の凝集塊から微小凝集が混在し、反応しない赤血球も認めます。また…

#112:ケーススタディー(Episode:12)血液型キメラ(B/O)に類似したB抗原減弱例

赤血球上のABH抗原は、先天的に抗原量が少ない亜型と主に血液疾患の影響によって後天的にABH抗原量が減少する抗原減弱があります。血液疾患(AMLやMDS等)の影響によって抗原が減弱することは以前から知られていましたが、その原因がABO遺伝子の転写異常によ…

#111:ケーススタディー(Episode:11)スライド法の凝集開始時間が決め手となる血液型キメラ(B/Oキメラ)

ABO血液型判定において、オモテ検査で部分凝集反応が観察される場合や背景に濁りを生じる場合には、血液型キメラ、疾患による抗原減弱、ABO亜型を疑う必要があります。但し、AB型で抗Bにのみ僅かに濁りを生じるが、オモテ・ウラ一致の場合はとくに深堀りする…

#110:ケーススタディー(Episode:10)妊娠歴がある女性で全て陽性になる場合に推測すること(抗Jra)

妊娠歴のある女性や妊婦において、自己対照赤血球を除く全ての赤血球と60分加温-間接抗グロブリン試験(60分-IAT)で凝集があり、PEG-IATと比べて凝集の強弱が変わらない場合は、高頻度抗原に対する抗体を疑う必要があります。通常、主な血液型(主要抗原)…

#109:ケーススタディー(Episode:09)反応パターンに騙されないために抗体の性質を見極める(抗M+抗Fya)

パネル赤血球との反応パターン(陽性及び陰性)が合致したにも関わらず、対応抗原が陰性の血液製剤と反応させると陽性となる場合があります。これは、反応パターンに騙された例です。抗体同定の基本は、合致する・しないだけではなく、抗体の性質、つまりホ…

#108:ケーススタディー(Episode:08)抗eとKidd系の抗体が混在すると全て陽性となる(抗e+抗Jka)

市販品のパネル赤血球の組成は、半分以上はD陰性であり、Rh表現型がrr、r”r、r’rなどの赤血球ではe抗原が陽性です。D陽性のパネル赤血球においてもR1R1(D+C+E-c-e+)とRor(D+C-E-c+e+)はe抗原が陽性であり、e抗原が陰性のR2R2(D+C-E+c+e-)は1~2本しか…

#107:ケーススタディー(Episode:07)IATで強弱があり単一抗体が疑われる場合は、まずは抗Xgaを疑う

不規則抗体同定用パネル赤血球との反応性において、凝集の強弱は複数抗体の存在や個々の赤血球抗原量にバラツキがある抗原に対する抗体が存在していることを示唆します。とくに間接抗グロブリン試験(IAT)でのみ反応する場合は、ホモ・ヘテロ接合赤血球で強…

#106:ケーススタディー(Episode:06)Rh系抗体の特異性は単純ではない(抗Ce+抗e)

患者は妊娠歴ある女性であり、パネル赤血球との反応においてブロメリン法及び間接抗グロブリン試験(IAT)で明瞭な反応があり、自己対照赤血球が陰性であることから同種抗体と考えるのが普通です。そして、被検者のRh表現型がR2R2型(D+C-E+c+e-)で、ブロメ…

#105:ケーススタディー(Episode:05)複数抗体が示唆された際には、まずは酵素処理赤血球を活用する(抗E+抗Fyb)

検査した殆どの赤血球と陽性を示した際、自己対照赤血球が陰性であれば、その抗体は同種抗体の可能性が高いと考えます。3+以上の反応の中に陰性があれば、その陰性は真の陰性である可能性が高いと考えます。逆に殆どがw+~1+の凝集の中の陰性は、真の陰性…

#104:ケーススタディー(Episode:04)冷式抗体で全て陽性の場合はO型vs同型の反応がポイント(抗HI)

LISS-IATやPEG-IATでパネル赤血球と全て弱陽性に反応するような検体に遭遇した場合は、まずはその反応が臨床的意義あるIgG性の同種抗体によるものかを見極める必要があります。自己対照赤血球が陽性の場合は抗赤血球自己抗体の可能性を考えますが、自己赤血…

#103:ケーススタディー(Episode:03)Sal法~IATで反応し血漿で中和される(抗Lewis)

不規則抗体同定用パネル赤血球との反応を観察した際、殆どの赤血球と陽性になる原因は、①複数抗体の混在、②高頻度抗原に対する抗体、③抗赤血球自己抗体、④抗CD38抗体製剤(DARA等)投与患者、④抗体価が高い冷式抗体(抗I、抗HIなど)などが考えられます。患…

#102:ケーススタディー(Episode:02)量的効果と酵素処理が同定のポイント(抗M)

消去法で被検者血漿(血清)とパネル赤血球との反応が陰性の抗原をクロスアウト(消去)していくと、残った抗原と反応パターンが合致しないケースに遭遇する場合があります。このような場合は、推測された抗原の性質に基づいて検査を進めることが重要です。…

#101:ケーススタディー(Episode:01)PEG-IAT弱陽性の時はまずはSal法を実施する(抗P1)

不規則抗体同定において、全ての赤血球と陽性ではない場合は、まずは消去法によって抗体の推定を行うこと、そして被検者の主な血液型(表現型)を調べることが可能であれば、血液型(表現型)に基づいて抗体保有の可能性を否定することを行うことである程度…