血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#074:DTT処理赤血球を用いた抗体同定への活用の(はてな?)

赤血球膜上の血液型抗原を担う分子構造を大きく分類すると、糖タンパク質、タンパク質、糖脂質(抗原活性は糖鎖)に分類されます。また、抗原分子の中には酵素や還元剤試薬で抗原が破壊される抗原もあります。逆にその性質を活用し、未処理赤血球と処理赤血…

#073:DTT処理赤血球を使用した際に観察される試験管内溶血の(はてな?)

DTT(dithiothreitol)は還元剤試薬であり、200mM濃度で赤血球を処理することによって、分子内にS-S結合を持つ特定の血液型抗原の破壊(主に高頻度抗原に対する抗体の鑑別のため)やDARA(ダラツムマブ)投与患者の抗体検査のために赤血球上のCD38抗原を破壊し…

#072:IgG性の抗A、抗B抗体価測定の(はてな?)

ABO不適合妊娠の場合やその他の血液型不適合妊娠が疑われ、母親が抗体を保有している際には移行抗体による児への影響を考慮して、母親が保有するIgG性抗体の抗体価を測定する場合があります。IgG性の抗体のみ保有する場合は、通常の間接抗グロブリン試験(以…

#071:10mM DTTによる血清中のIgM、IgG抗体の鑑別の(はてな?)

赤血球に対する不規則抗体の中には、主にIgM性とIgG性の抗体が存在し、IgM抗体は主に直接凝集反応を示す生理食塩液法(Sal法)で検出される抗体です。一方、IgG抗体は通常直接凝集反応を起こさず、間接抗グロブリン試験(IAT)で検出される抗体です[SL.1、S…

#070:不規則抗体の抗体価測定が必要になった際の(はてな?)

通常、輸血を行う際には、ABO及びRhD血液型検査とともに主な血液型抗原に対する不規則抗体スクリーニング(以下、抗体Scr)が実施されます。抗体Scrで陽性を示した場合は引き続き抗体同定作業を行い、検出された抗体の臨床的意義を考慮し輸血用血液製剤が選…

#069:ABOウラ検査にO型赤血球を追加使用する意義の(はてな?)

ABO血液型の判定には、「オモテ検査」と「ウラ検査」がありますが、ウラ検査は被検者血漿(血清)中の抗A、抗B(規則抗体)を検出する検査であり、通常、既知のA1型及びB型赤血球を使用し判定しています。以前は、O型赤血球も同時に検査していましたが、抗体…

#068:A3型家系で観察されたallelic enhancement phenomenonの(はてな?)

これまでの記事において、A2アリルを保有する個体の表現型はO遺伝子とヘテロ接合の場合は、A2アリルの元々の性質が反映された表現型(A2型)になりB遺伝子とヘテロ接合の場合、多くはA2B型であるものの、時々A3B型になる場合もあることをシェアしてきました…

#067:A2B(A3B)型のB抗原量はA1B型よりも通常増加しているの(はてな?)

A2型及びA2B型は、現在市販されているモノクローナル抗体では通常のA型及びAB型と判定されるため、通常実施している試験管法では抗A試薬との反応が弱いとはなりません。しかし、試験管法よりも感度が低いスライド法などを実施すると抗A試薬との凝集開始時間…

#066:A202とA203は、B遺伝子とヘテロ接合で顕著にA抗原が減少するの(はてな?)

日本人から検出されるA2型及びA2B型の多くは、主にA201~A205のA2アリルが関与し、A202とA203はO遺伝子とヘテロの場合はA2型に、B遺伝子とヘテロ接合の場合はA2B型又はA3B型になる場合があることを#065の記事でシェアしました。ここでは、A2型に対応する遺…

#065:A2型及びA3型は主にエキソン7内の一塩基置換で生じるの(はてな?)

ABO血液型には抗原量が少ない亜型が存在しますが、遺伝子レベルでは血清学よりもさらに多型性に富み、一つの表現型から複数の対立遺伝子が同定されています。A2(A2B)及びA3(A3B)についても血清学的には同様の表現型であっても複数の対立遺伝子が同定され…

#064:Bm型とB/Oキメラの鑑別には遺伝子検査が有用の(はてな?)

B型の亜型の多くは抗Bと直接凝集を示さないBm型であり、Bm型は日本人から検出される亜型の中で最も多く検出されます。オモテ検査はO型、ウラ検査はB型を示す典型的なオモテ・ウラ不一致の亜型です。一方、B型の混合比が1%程度のB/OキメラにおいてもBmと同様…

#063:プロモーター領域の変異で生じたB3型の一例の(はてな?)

ABO血液型には多種の亜型が存在し、その遺伝子背景も様々です。B亜型の中で、B3型はA3型同様に、抗Bと部分凝集を示すことが一つの特徴です。B型ではA型とは異なり、A2型に相当する亜型カテゴリーがないため、B3型といっても比較的強い凝集を示す検体から非常…

#062:スプライシング部位の変異によるA3型の(はてな?)

ABO血液型には多種の亜型が存在しますが、A3型についての分子生物学的知見は多くありません。また血清学的にA3型と分類する明確な定義が乏しく、加えて対応する遺伝子の違いで赤血球A抗原量や血漿中のA転移酵素活性にはバリエーションが生じ、判定に苦慮する…

#061:赤血球系細胞に特異的な転写制御領域内の変異によるA3型の(はてな?)

ABO血液型の亜型の一つであるA3型は抗Aと部分凝集反応が観察されることが一つの特徴とされています。しかし、部分凝集の程度や血漿中のA転移酵素活性にはバリエーションがあり、一様ではありません。ここでは、赤血球系細胞に特異的な転写制御領域内の変異に…

#060:Miltenberger抗原に対する抗体の(はてな?)

MNS血液型システムは、現在49抗原が確認されています。そのうち、多型性を示すM、N、S、s(4抗原)の他に、GPAのミスセンス変異によって生じたOr、Osa、MNTDやGYPAとGYPBのハイブリッドで生じたMiltenberger抗原群などの低頻度抗原が多く存在します。これら…

#059:MNS血液型の低頻度抗原、Miltenberger抗原群の(はてな?)

MNS血液型には、多くの低頻度抗原が存在します。このようなMNSバリアントのメカニズムはMN抗原が存在するグリコフォリンA(GPA)とグリコフォリンB(GPB)のハイブリッド分子によって生じています。その代表例がMiltenberger抗原群です。ここでは、MNS血液型…

#058:MNS血液型の新たな低頻度抗原SUMIの(はてな?)

MNS血液型システム(ISBT002)には多型性のM、N、S、sの他に低頻度抗原、高頻度抗原を合わせて現在49抗原が存在し、Rh血液型システムの55抗原に次いで2番目に抗原数が多い血液型システムです。MNS血液型の49抗原のうち、半数以上が低頻度抗原です。ここでは…

#057:Kell抗原減少が特徴のMcLeod表現型の(はてな?)

Kx血液型はKx抗原の一種類で構成される19番目の血液型システム(ISBT019)です。Kx抗原はX染色体がコードするXK蛋白上に抗原が存在します。Kx抗原が陰性の赤血球ではKell血液型抗原が減少し、McLeod型(表現型)とも呼ばれています。ここでは、Kell抗原減少…

#056:抗Lan保有者への輸血の対応の(はてな?)

Lan抗原は赤血球上の高頻度抗原であり、抗原を担う蛋白はABC輸送体ファミリーに属するABCB6に存在しています(JR血液型はABCG2)。ISBT(国際輸血学会)では33番目の血液型システムとして登録されています。Lan-型は世界的にもまれな血液型であり、抗Lanの報…

#055:試験管内溶血が観察される抗P、抗PP1PKの(はてな?)

抗I、抗M、抗P1などの低温反応性のIgM性の不規則抗体を保有している血漿(血清)を用いたABO血液型判定のウラ検査では、ABO型に関係なく凝集し、一見ウラ検査がO型に判定される場合があります。しかし、通常実施しているABOウラ検査や不規則抗体スクリーニン…

#054:P1PK血液型とGloboside血液型の(はてな?)

P血液型(P1)は1927年にLandsteinerとLevineがヒト赤血球免疫ウサギ血清中の抗体を用いて発見した血液型です。近年P転移酵素,Pk転移酵素を担う遺伝子がクローニングされ、その遺伝的背景が明らかとなりP血液型はP1PK血液型にシステム名が変わりました。一…

#053:一過性に抗原が陰性化し、抗IFCを保有した例の(はてな?)

Cromer血液型は、ISBT(国際輸血学会)では21番目の血液型システムとして、現在19種類の抗原が属し、そのうち、Cra、Tca、Dra、Esa、IFC、WESb、UMCを含む16種類の高頻度抗原と低頻度抗原であるTcb、Tcc、WESaの3抗原で構成されています。この中で、日本人に…

#052:凝集の強弱が特徴のKnops系抗体の(はてな?)

Knops(ノップス)血液型は、ISBT(国際輸血学会)で22番目の血液型システム(ISBT022)であり、9つの抗原が存在します。Knops抗原を担う分子は、補体レセプター1(CR1:complement receptor 1)に存在します。ここでは、凝集の強弱が特徴のKnops系抗体の(…

#051:抗D様の反応性を示す抗LWの(はてな?)

LW血液型は、ISBT(国際輸血学会)で16番目の血液型システム(ISBT016)として登録されています。表現型は、LW(a+b-)、LW(a+b+)、LW(a-b+)が知られ、人種を問わず遺伝的なLW(a-)は世界的にも稀であり日本人でも1例のみ知られている。通常抗LWといっているの…

#050:抗Jra、抗JMH、抗KANNOの単球貪食試験の(はてな?)

抗Jra、抗JMH、抗KANNOは赤血球高頻度抗原に対する抗体であり、日本人から比較的多く検出される抗体です。抗Jra、抗KANNOは妊娠歴のある女性から検出率が高く、抗JMHは高齢者からの検出率が比較的高い抗体です。これらの抗体はHTLA(High Titer Low Avidity…

#049:妊婦が保有する抗KANNOの(はてな?)

抗KANNOは、日本人から検出される赤血球高頻度抗原に対する抗体の中で、抗Jra、抗JMHに次いで検出率が高い高頻度抗原に対する抗体です。抗Jraと同様に女性(とくに妊婦)から検出されることが多い抗体です。ここでは、妊婦が保有する抗KANNOの(はてな?)に…

#048:KANNO抗原を担うプリオン蛋白の(はてな?)

約30年間、抗原を担う分子が解明されなかったKANNO抗原ですが、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いた手法によって、第20番染色体短腕(20p13)のPRNP遺伝子にコードされたプリオン蛋白上に存在することがようやく分かりました。プリオン遺伝子(PRNP遺伝子…

#047:KANNO抗原の原因遺伝子解明の(はてな?)

KANNO抗原分子の解析は、これまでに免疫沈降法やイムノブロッティング法が検討されましたが解明されていませんでした。そもそも抗KANNOはHTLA抗体の性質のため抗原抗体反応が弱いことが要因でした。そこで、ゲノム解析から絞り込む方法を用いてKANNO抗原を担…

#046:新たな血液型システムとして国際認定されたKANNO血液型の(はてな?)

1991年に既知の特異性と合致しない高頻度抗原に対する抗体が検出され、対応する抗原を発端者に因み暫定的にKANNO抗原、抗体を抗KANNOと名付けました。当時新たな血液型の可能性が示唆され、その後もKANNO抗原分子の解析が行われましたが解明には至りませんで…

#045:抗JMH+抗Sの抗体同定例の(はてな?)

通常、抗JMHなどの高頻度抗原に対する抗体を保有した血漿(血清)では、不規則抗体同定検査及び交差適合試験(主試験)の間接抗グロブリン試験において、使用したすべての赤血球と凝集反応を示します。そのため、臨床的意義のある主な血液型抗原に対する抗体…