血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#106:ケーススタディー(Episode:06)Rh系抗体の特異性は単純ではない(抗Ce+抗e)

患者は妊娠歴ある女性であり、パネル赤血球との反応においてブロメリン法及び間接抗グロブリン試験(IAT)で明瞭な反応があり、自己対照赤血球が陰性であることから同種抗体と考えるのが普通です。そして、被検者のRh表現型がR2R2型(D+C-E+c+e-)で、ブロメ…

#105:ケーススタディー(Episode:05)複数抗体が示唆された際には、まずは酵素処理赤血球を活用する(抗E+抗Fyb)

検査した殆どの赤血球と陽性を示した際、自己対照赤血球が陰性であれば、その抗体は同種抗体の可能性が高いと考えます。3+以上の反応の中に陰性があれば、その陰性は真の陰性である可能性が高いと考えます。逆に殆どがw+~1+の凝集の中の陰性は、真の陰性…

#104:ケーススタディー(Episode:04)冷式抗体で全て陽性の場合はO型vs同型の反応がポイント(抗HI)

LISS-IATやPEG-IATでパネル赤血球と全て弱陽性に反応するような検体に遭遇した場合は、まずはその反応が臨床的意義あるIgG性の同種抗体によるものかを見極める必要があります。自己対照赤血球が陽性の場合は抗赤血球自己抗体の可能性を考えますが、自己赤血…

#103:ケーススタディー(Episode:03)Sal法~IATで反応し血漿で中和される(抗Lewis)

不規則抗体同定用パネル赤血球との反応を観察した際、殆どの赤血球と陽性になる原因は、①複数抗体の混在、②高頻度抗原に対する抗体、③抗赤血球自己抗体、④抗CD38抗体製剤(DARA等)投与患者、④抗体価が高い冷式抗体(抗I、抗HIなど)などが考えられます。患…

#102:ケーススタディー(Episode:02)量的効果と酵素処理が同定のポイント(抗M)

消去法で被検者血漿(血清)とパネル赤血球との反応が陰性の抗原をクロスアウト(消去)していくと、残った抗原と反応パターンが合致しないケースに遭遇する場合があります。このような場合は、推測された抗原の性質に基づいて検査を進めることが重要です。…

#101:ケーススタディー(Episode:01)PEG-IAT弱陽性の時はまずはSal法を実施する(抗P1)

不規則抗体同定において、全ての赤血球と陽性ではない場合は、まずは消去法によって抗体の推定を行うこと、そして被検者の主な血液型(表現型)を調べることが可能であれば、血液型(表現型)に基づいて抗体保有の可能性を否定することを行うことである程度…

#100:Mimicking抗体(抗E)の鑑別の(はてな?)

Mimicking抗体は自己抗体の一種です。Mimickingとは「まねている、擬態」という意味があります。通常、不規則抗体用パネル赤血球との反応において特異性が確認された場合、対応抗原陽性の赤血球で吸着されますが、抗原陰性の赤血球では吸着されません。これ…

#099:レクチンによるpolyagglutinationの鑑別の(はてな?)

Polyagglutinationとは、細菌などの酵素によって赤血球表面のシアル酸が切断され、潜在性のT抗原が露出し、成人のあらゆる血漿(血清)と凝集反応を起こすことです。成人の血漿(血清)中には、これらのT抗原と反応する抗T抗体が抗Aや抗Bなどの規則抗体と同…

#098:血液型精査におけるレクチンの活用の(はてな?)

レクチンとは、糖鎖と結合する能力を有する抗体以外のタンパク質で細胞や複合糖質を凝集し、単糖又はオリゴ糖によって特異的に阻止される特徴もあります。一般的にレクチンは、植物・動物・微生物等に存在するタンパク質、糖タンパク質のうち、糖に対する特…

#097:オモテB型でウラ検査の抗Aが弱い場合に考えること!の(はてな?)

ABO血液型はオモテ・ウラ検査のロジックで判定することから、オモテ・ウラ不一致の場合やウラ検査の凝集態度が弱い場合には亜型を考慮する必要があり、ABO血液型判定を躊躇する場合があります。今回はオモテB型でウラ検査の抗Aが弱い場合に考えること!の(…

#096:ABOウラ検査の反応が弱い場合に想定すること!の(はてな?)

ABO血液型の決定は、赤血球側のA又はB抗原の有無を調べるオモテ検査と、血漿(血清)中の規則抗体の抗A又は抗Bの有無を調べるウラ検査が一致した際にABO血液型を決定します。オモテ検査の反応において、明らかな部分凝集や反応が弱い場合は、亜型や血液型キ…

#095:モノクロ抗D(IgG+IgM)を用いた吸着解離試験の注意点の(はてな?)

RhD血液型は、抗D試薬との反応性からD陽性、D陰性に大別されます。直後判定において陰性の場合は、引き続き間接抗グロブリン試験(IAT)によるD陰性確認試験を行い、最終判定を行います。通常、臨床の現場において抗Dによる吸着解離試験を行うケースは少なく…

#094:唾液検査でABO型が判定出来ない場合は爪を用いる!の(はてな?)

抗A又は抗B試薬と直接凝集反応を呈さない亜型(Bm、A1Bm、Ael、Belなど)の場合、吸着解離試験を行い赤血球上に微量に存在する抗原の有無を調べて血液型を決定します。しかし、使用する試薬の問題もあり、予想した結果が得られない場合や非特異反応によって…

#093:ABO亜型個体の唾液中のA,B型物質量の(はてな?)

ヒト唾液中には、赤血球のABO血液型と同じ型物質が存在します。唾液中に含まれるABH型物質は、亜型個体では赤血球上の抗原が少ないのと同様にABH型物質も少なくなり、亜型と確定するための一つの特徴と位置づけられてきました。また、造血幹細胞移植を行い、…

#092:唾液検査に使用可能なモノクロ抗A、抗Bの(はてな?)

ABO血液型精査において、亜型や血液型キメラを決定する一助として唾液中の型物質を調べる検査があります。唾液中の型物質や爪のABO型は生涯変わらないため、造血幹細胞移植後や血液型キメラの場合に被検者本来の血液型を調べるには有用な検査となります。唾…