血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#091:モノクローナル抗A、抗Bの非特異反応の(はてな?)

ABO血液型の亜型が疑われた際には、抗A、抗Bによる凝集の強弱(凝集開始時間)や部分凝集反応の有無が観察され、必要に応じてレクチンとの反応性、爪又は唾液中のABH型物質、血漿中糖転移酵素活性などの追加検査が行われます。抗A、抗Bと直接凝集を示さない…

#090:ABmos表現型の血漿中B転移酵素活性の(はてな?)

ABmos表現型とは、本質的にはAB型であるものの通常のB抗原量を有する赤血球と抗原量が低下又は様々な抗原量を有する赤血球が混在している表現型です。そのため、抗B試薬と凝集が若干弱くなったり、背景に濁りを生じたりします。これは血液疾患等で観察される…

#089:抗B試薬との反応が弱いAB型(ABmos?)の(はてな?)

ABO血液型判定のオモテ検査の抗A又は抗B試薬との反応において、亜型と言うほど抗原量の低下はないものの、僅かに反応しない赤血球がある、又は若干背景に濁りを生じる場合があります。このような検体では通常ウラ検査は正常であり、ABO血液型の判定としては…

#088:赤血球A,B抗原量と血漿中A,B転移酵素活性の(はてな?)

赤血球上のABH抗原は、骨髄のGolgi体で糖転移酵素(膜蛋白)の作用によって糖付加されてA型又はB型抗原を有する赤血球が生合成され末梢へ出てきます。新生児では糖転移酵素活性が成人に比べて低いため、A,B抗原量は成人と比べて1/4程度になっています。一方…

#087:Le(a+b-)型血漿による抗Leaの凝集抑制の(はてな?)

抗Leaや抗Lebの抗体は、主にLe(a-b-)表現型個体から検出されます。多くは自然抗体として保有し、主に室温~37℃の比較的温度幅が広い相で反応するIgM性の抗体ですが、中には間接抗グロブリン試験のみで検出されるIgG性の抗Leaも時々検出されます。Le(a-b+)個…

#086:RhD陽性とRhD陰性の血液型キメラの鑑別の(はてな?)

ABO血液型のオモテ検査において抗A又は抗Bと部分凝集を示し、精査の結果、血液型キメラであることが判明することが時々あります。その際、抗A、抗B等を用いて凝集部又は非凝集部に分離し、それぞれの集団を検査するとABO以外にも不一致を認める場合がありま…

#085:唾液による凝集抑制の活用の(はてな?)

ABH分泌型個体のヒト唾液中には、A型個体であればAとH型物質が、B型個体であればBとH物質が、O型個体であればH物質のみが存在しています。輸血検査において、唾液を使用する場面といえば、一般的には亜型等を疑った際のABO血液型精査ですが、実はABOウラ検査…

#084:高力価冷式自己抗体の吸着操作の(はてな?)

冷式抗体とは低温相で最も強い反応を示す抗体の総称であり、主にIgM性の抗体です。また、自己赤血球とも反応する抗体は冷式自己抗体と呼び、代表例である抗Iや抗HIは日常検査でも遭遇します。また、抗I、抗HI以外に血液型特異性のないpan-reactiveな反応性を…

#083:Jk(a-b-)のまれな血液型を推測する2M尿素の活用の(はてな?)

Jk(a-b-)型はKidd血液型のまれな血液型(表現型)です。日本人では5万に1人程度の検出頻度です。Jk(a-b-)型はポリネシア人(数百人に1人)以外では世界的にもまれな血液型です。通常、まれな血液型の判明は抗体保有者から検出されるか、特異抗体による抗原ス…

#082:Kidd血液型のJka抗原量低下の(はてな?)

Kidd血液型は、第18番染色体長腕に存在するJK遺伝子によってコードされたKidd糖蛋白上に抗原が存在します。JK遺伝子は11個のエキソンから成り、エキソン4の3末端側からエキソン11が蛋白コード領域となります。表現型はJk(a-b+)、Jk(a-b+)、Jk(a+b+)が多型性…

#081:B遺伝子由来と考えられる新たなシスAB遺伝子の(はてな?)

シスAB遺伝子とは、一つの対立遺伝子がAとBの転移酵素活性を有する遺伝子のことで、O遺伝子とヘテロ接合しても表現型はAB型になります(通常はB抗原が弱いAB型)。日本人から検出されるシスAB遺伝子は、A遺伝子がベース構造となっているcisAB01とB遺伝子がベ…

#080:遺伝子タイピングによる表現型の推定の(はてな?)

不規則抗体同定において、特異性のある抗体が検出された場合、通常被検者の血液型に基づいて同種抗体又は自己抗体の判断を行っています。しかし、過去3ヶ月以内に赤血球製剤の輸血歴がある場合は、同種赤血球が体内に残っているため、通常実施している血清学…

#079:同一個体の血小板と赤血球上のA,B抗原量の相関についての(はてな?)

ヒト血小板上には、HPA抗原及びHLAのクラスI抗原が存在しますが、微量ながらABH抗原も存在します。一部の個体では、血小板上のA、B抗原が高発現したHigh expresserと呼ばれる個体が、集団の中に10%程度存在することが知られています。しかし、同一個体から…

#078:ヒト血小板上のA,B抗原量の(はてな?)

ヒト血小板上には、ヒト血小板特異抗原(HPA)及びHLAクラスI抗原が存在しています。その他にABH抗原(A抗原、B抗原)も存在しますが、その抗原量は赤血球抗原に比べて少ないため、例えば、A型患者(抗B保有)へB型血小板(B抗原)を輸血しても、レアな組み…

#077:HLA関連抗原であるBg抗原とその抗体の(はてな?)

輸血歴又は妊娠歴のある患者検体の抗体スクリーニング又は交差適合試験で1本のみ陽性となり、引き続き実施した不規則抗体同定用パネルとは全て陰性となる場合があります。又は1本のみ陽性となり、どの抗体にも合致しない場合があります。このような反応を呈…