血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#141:輸血検査のQ&A(A3とAx、B3とBxはどのように鑑別するの?)

A3とAxはA型の亜型であり、B3とBxはB型の亜型です。どちらもオモテ検査(試験管法)では、抗A又は抗Bと弱い反応(w+〜2+)を示し、スライド法ではしばらく観察しないと凝集が見えてきません。教科書的には抗原量の多い方がA3やB3であり、さらに少ないも…

#140:輸血検査のQ&A(ABOウラ検査が弱い、それって亜型の可能性ある?)

ABO血液型は、オモテ検査とウラ検査が一致した場合のみ血液型が判定されます。定義はありませんが、通常の表現型では、オモテ検査は3+以上の凝集が、ウラ検査でも2+以上の凝集が観察されます。従って、逆を言えば、オモテ検査の2+以下、ウラ検査の1+…

#139:輸血検査のQ&A(抗A又は抗Bの吸着解離が必要なケースは?)

ABO血液型判定のオモテ検査は、被検者赤血球と抗A及び抗B試薬との反応性(凝集の有無)から決定されます。しかし、赤血球上のA又はB抗原が非常に少ない亜型では抗A又は抗B試薬と直接凝集反応を呈さず、一見抗原が無いように見えてしまいます。例えば、日本人…

#138:輸血検査のQ&A(亜型は遺伝子検査のみで確定できるか?)

ABO血液型には多種の亜型が存在しますが、血清学検査で亜型を分類するには多くの経験と亜型に関する知識が必要になります。抗A、抗Bのオモテ検査の反応性、スライド法による部分凝集の有無、ウラ検査の不規則性抗A1又は抗Bの有無、吸着解離試験、血漿中の糖…

#137:輸血検査のQ&A(亜型の患者さんへの輸血)

ABO亜型とは、赤血球上のA型又はB型(又は両方)の抗原が先天的に減少している表現型をいいます。血液疾患(AML、MDSなど)等で一過性(後天的)にABH抗原が減弱した表現型は亜型とは言いません。但し、両者の鑑別は非常に難しく、とくに被検者が血液疾患等…

#136:ケーススタディー(Episode:36)DAT陽性の原因は自己抗体だけではない(鑑別のための検査方法)

直接抗グロブリン試験(以下、DAT)は、赤血球に既に結合している抗体又は免疫グロブリンの存在を明らかにする検査です。一方、間接抗グロブリン試験(以下、IAT)は、被検者血漿(血清)中に抗体等が存在するかを調べる検査です。用語的には「直接」「間接…

#135:ケーススタディー(Episode:35)B型患者が過去にA型ドナーから造血幹細胞移植を行った例

ABO血液型判定は、抗A及び抗B試薬を用いて被検者の赤血球上の抗原を調べる「オモテ検査」と既知のA1型赤血球及びB型赤血球試薬を用いて、被検者血漿(血清)中の規則抗体である抗A又は抗Bの有無を調べる「ウラ検査」があります。オモテ・ウラ検査の結果が一…

#134:ケーススタディー(Episode:34)頻回又は直近に輸血歴のある患者から検出された抗体の鑑別

通常、同種抗体は自己赤血球の陰性抗原に対して、輸血又は妊娠による免疫刺激によって抗体が産生されます(例えば、E―型の人が抗Eを保有、E+型の人が同種抗Eは保有しない)。不規則抗体同定は、通常不規則抗体同定用パネル赤血球(市販品10~11本組)を用い…

#133:ケーススタディー(Episode:33)PEG-IATによる非特異反応を軽減し、効果的に抗体を検出する策

ポリエチグリコール(以下、PEG)を用いた間接抗グロブリン試験(以下、PEG-IAT)は、低力価の抗体を感度良く検出するメリットがありますが、デメリットとして赤血球抗体以外のγグロブリン等の影響を受けて非特異反応(弱陽性の凝集)を呈することがあります…

#132:ケーススタディー(Episode:32)血中免疫グロブリン量増加の影響によるPEG-IATの非特異反応

連銭形成とは、コインを重ねてずらした様に赤血球が連なって見える現象です。この現象は、多発性骨髄腫やマクログロブリン血漿、肝硬変など血中の免疫グロブリン(主にγグロブリン)が増加した疾患の患者さんの血漿(血清)で確認されます。赤血球上の表面は…

#131:ケーススタディー(Episode:31)ABO血液型判定でウラの反応が弱い時に実施すべきこと

健常人約100万検体のABO血液型判定を自動検査機器で実施した際、7,513件(0.75%)がオモテ又はウラ検査に異常(予期せぬ反応)を認め、ABO血液型が確定出来ませんでした。7,513検体の内訳として、15%がオモテ検査の異常(若干抗原量が少ない範疇の検体を含…

#130:ケーススタディー(Episode:30)オモテO型でウラ弱の際の考え方と解釈

ABO血液型の判定は、赤血球上のA又はB抗原の有無を調べるオモテ検査と、血漿(血清)中に存在する規則抗体(抗A、抗B)を調べるウラ検査があり、オモテとウラの結果が一致した場合のみ血液型を確定するロジックになっています。従って、オモテ検査で反応が弱…

#129:ケーススタディー(Episode:29)抗Dと微細な凝集が観察された際に考えること

Rh血液型の判定は被検者赤血球と抗D試薬の反応で判定しますが、直後判定が陰性の場合は、引き続き間接抗グロブリン試験を行い最終判定します。しかし、時々検体1のように間接抗グロブリン試験で一部の抗D試薬とw+程度の微弱な凝集が観察される場合がありま…

#128:ケーススタディー(Episode:28)抗Dを用いたスライド法はRhキメラ判定には有用

RhDの血液型判定において、D+とD-の血液型キメラの際、D陽性の割合が概ね30%以下では、間接抗グロブリン試験を実施するとD陽性が少ないために一見weak Dのような凝集が観察されます。逆にD陰性の割合が少ない(概ね20%程度以下)場合は、抗DとD陽性赤血…

#127:ケーススタディー(Episode:27)抗Dを用いたIAT判定の凝集像が特徴的なRhD血液型キメラ

RhD血液型の判定は、輸血検査の日常検査では通常ABO血液型と一緒に実施されています。日本人ではRhD陽性頻度が高く、RhD陰性は約0.5%程度(200人に1人程度)であるため、殆どは抗D試薬と陽性を示すRhD陽性となります。試験管法で実施する場合は、抗D試薬と…