通常、同種抗体は自己赤血球の陰性抗原に対して、輸血又は妊娠による免疫刺激によって抗体が産生されます(例えば、E―型の人が抗Eを保有、E+型の人が同種抗Eは保有しない)。不規則抗体同定は、通常不規則抗体同定用パネル赤血球(市販品10~11本組)を用い…
ポリエチグリコール(以下、PEG)を用いた間接抗グロブリン試験(以下、PEG-IAT)は、低力価の抗体を感度良く検出するメリットがありますが、デメリットとして赤血球抗体以外のγグロブリン等の影響を受けて非特異反応(弱陽性の凝集)を呈することがあります…
連銭形成とは、コインを重ねてずらした様に赤血球が連なって見える現象です。この現象は、多発性骨髄腫やマクログロブリン血漿、肝硬変など血中の免疫グロブリン(主にγグロブリン)が増加した疾患の患者さんの血漿(血清)で確認されます。赤血球上の表面は…
健常人約100万検体のABO血液型判定を自動検査機器で実施した際、7,513件(0.75%)がオモテ又はウラ検査に異常(予期せぬ反応)を認め、ABO血液型が確定出来ませんでした。7,513検体の内訳として、15%がオモテ検査の異常(若干抗原量が少ない範疇の検体を含…
ABO血液型の判定は、赤血球上のA又はB抗原の有無を調べるオモテ検査と、血漿(血清)中に存在する規則抗体(抗A、抗B)を調べるウラ検査があり、オモテとウラの結果が一致した場合のみ血液型を確定するロジックになっています。従って、オモテ検査で反応が弱…
Rh血液型の判定は被検者赤血球と抗D試薬の反応で判定しますが、直後判定が陰性の場合は、引き続き間接抗グロブリン試験を行い最終判定します。しかし、時々検体1のように間接抗グロブリン試験で一部の抗D試薬とw+程度の微弱な凝集が観察される場合がありま…
RhDの血液型判定において、D+とD-の血液型キメラの際、D陽性の割合が概ね30%以下では、間接抗グロブリン試験を実施するとD陽性が少ないために一見weak Dのような凝集が観察されます。逆にD陰性の割合が少ない(概ね20%程度以下)場合は、抗DとD陽性赤血…
RhD血液型の判定は、輸血検査の日常検査では通常ABO血液型と一緒に実施されています。日本人ではRhD陽性頻度が高く、RhD陰性は約0.5%程度(200人に1人程度)であるため、殆どは抗D試薬と陽性を示すRhD陽性となります。試験管法で実施する場合は、抗D試薬と…
今回の例も、被検者のDATが陽性(2+)であり、パネル赤血球とは全て陽性、また自己対照赤血球も4+と増強することから、概ね自己抗体の存在が推測される例です。パネル赤血球との反応に特に強弱がないことから、血液型特異性のない(pan-reactive)自己抗体…
温式自己抗体(以下、自己抗体)は自己赤血球を含む全ての同種赤血球と反応します。一方、高頻度抗原に対する抗体は自己赤血球とは陰性で同種赤血球とはすべて陽性となります(対応する抗原が陰性のまれな血液型赤血球以外)。高頻度抗原に対する抗体保有者…
血漿(血清)中に自己抗体が存在し、直接抗グロブリン試験(DAT)が陽性の場合、自己抗体を吸着除去する際には、まずは自己赤血球を酸処理(EA処理)し、DATを弱陽性にした自己赤血球を用いて自己抗体を吸着除去するというのが、教本等に記載されています。…
自己抗体の血液型特異性は、同種抗体とは異なり自分の赤血球上に存在する抗原に対して特異性を示す抗体です。例えば、R1R1(D+C+E-c+e+)型個体であれば、抗D、抗C、抗e、R2R2(D+C-E+c+e-)型の場合は、抗D、抗E、抗cなどの血液型特異性を有する自己抗体を…
自己抗体を保有した血漿(血清)は、使用した全ての赤血球と陽性反応を示すため、同種抗体が混在しても簡単には判別できません。抗体価が低い(反応が弱い)自己抗体+抗体価の高い(反応が強い)同種抗体の混在であれば、その反応強度からある程度、特異性…
通常、自己抗体は自己赤血球を含む全ての赤血球を一様に凝集するため、不規則抗体同定を困難にします。自己抗体が反応する代表的な抗原は、赤血球上のBand3、Rh蛋白、GPA(グリコフォリンA)などであり、これらの蛋白は全てのヒトの赤血球上に存在するため…
ABOオモテ検査を実施した際に、明瞭な凝集はあるものの、背景に濁りを生じる場合に、考えることは主に3つ、ABO亜型、血液型キメラ、疾患による抗原減弱です。その他にもO型の異型適合血液の輸血や造血幹細胞移植後などもありますが、日常的に遭遇するのは、…