ヒト血小板上には、HPA抗原及びHLAのクラスI抗原が存在しますが、微量ながらABH抗原も存在します。一部の個体では、血小板上のA、B抗原が高発現したHigh expresserと呼ばれる個体が、集団の中に10%程度存在することが知られています。しかし、同一個体から…
ヒト血小板上には、ヒト血小板特異抗原(HPA)及びHLAクラスI抗原が存在しています。その他にABH抗原(A抗原、B抗原)も存在しますが、その抗原量は赤血球抗原に比べて少ないため、例えば、A型患者(抗B保有)へB型血小板(B抗原)を輸血しても、レアな組み…
輸血歴又は妊娠歴のある患者検体の抗体スクリーニング又は交差適合試験で1本のみ陽性となり、引き続き実施した不規則抗体同定用パネルとは全て陰性となる場合があります。又は1本のみ陽性となり、どの抗体にも合致しない場合があります。このような反応を呈…
ポリエチレングリコール(PEG)を添加した間接抗グログリン試験(PEG-IAT)は、不規則抗体の検出感度に優れているため、試験管法を実施している施設においては、交差適合試験や抗体同定検査に用いられています。しかし、臨床的意義が低い冷式抗体の持ち越し…
多発性骨髄腫は、B細胞系の形質細胞が腫瘍化し、細胞の活性化マーカー(CD38)は強陽性を示すことが知られています。CD38 は内在性膜蛋白で、骨髄腫細胞に著しく発現されています。抗CD38モノクローナル抗体薬は新しい骨髄腫の治療薬として徐々に使用されて…
赤血球膜上の血液型抗原を担う分子構造を大きく分類すると、糖タンパク質、タンパク質、糖脂質(抗原活性は糖鎖)に分類されます。また、抗原分子の中には酵素や還元剤試薬で抗原が破壊される抗原もあります。逆にその性質を活用し、未処理赤血球と処理赤血…
DTT(dithiothreitol)は還元剤試薬であり、200mM濃度で赤血球を処理することによって、分子内にS-S結合を持つ特定の血液型抗原の破壊(主に高頻度抗原に対する抗体の鑑別のため)やDARA(ダラツムマブ)投与患者の抗体検査のために赤血球上のCD38抗原を破壊し…
ABO不適合妊娠の場合やその他の血液型不適合妊娠が疑われ、母親が抗体を保有している際には移行抗体による児への影響を考慮して、母親が保有するIgG性抗体の抗体価を測定する場合があります。IgG性の抗体のみ保有する場合は、通常の間接抗グロブリン試験(以…
赤血球に対する不規則抗体の中には、主にIgM性とIgG性の抗体が存在し、IgM抗体は主に直接凝集反応を示す生理食塩液法(Sal法)で検出される抗体です。一方、IgG抗体は通常直接凝集反応を起こさず、間接抗グロブリン試験(IAT)で検出される抗体です[SL.1、S…
通常、輸血を行う際には、ABO及びRhD血液型検査とともに主な血液型抗原に対する不規則抗体スクリーニング(以下、抗体Scr)が実施されます。抗体Scrで陽性を示した場合は引き続き抗体同定作業を行い、検出された抗体の臨床的意義を考慮し輸血用血液製剤が選…
ABO血液型の判定には、「オモテ検査」と「ウラ検査」がありますが、ウラ検査は被検者血漿(血清)中の抗A、抗B(規則抗体)を検出する検査であり、通常、既知のA1型及びB型赤血球を使用し判定しています。以前は、O型赤血球も同時に検査していましたが、抗体…
これまでの記事において、A2アリルを保有する個体の表現型はO遺伝子とヘテロ接合の場合は、A2アリルの元々の性質が反映された表現型(A2型)になりB遺伝子とヘテロ接合の場合、多くはA2B型であるものの、時々A3B型になる場合もあることをシェアしてきました…
A2型及びA2B型は、現在市販されているモノクローナル抗体では通常のA型及びAB型と判定されるため、通常実施している試験管法では抗A試薬との反応が弱いとはなりません。しかし、試験管法よりも感度が低いスライド法などを実施すると抗A試薬との凝集開始時間…
日本人から検出されるA2型及びA2B型の多くは、主にA201~A205のA2アリルが関与し、A202とA203はO遺伝子とヘテロの場合はA2型に、B遺伝子とヘテロ接合の場合はA2B型又はA3B型になる場合があることを#065の記事でシェアしました。ここでは、A2型に対応する遺…
ABO血液型には抗原量が少ない亜型が存在しますが、遺伝子レベルでは血清学よりもさらに多型性に富み、一つの表現型から複数の対立遺伝子が同定されています。A2(A2B)及びA3(A3B)についても血清学的には同様の表現型であっても複数の対立遺伝子が同定され…