血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#046:新たな血液型システムとして国際認定されたKANNO血液型の(はてな?)

1991年に既知の特異性と合致しない高頻度抗原に対する抗体が検出され、対応する抗原を発端者に因み暫定的にKANNO抗原、抗体を抗KANNOと名付けました。当時新たな血液型の可能性が示唆され、その後もKANNO抗原分子の解析が行われましたが解明には至りませんで…

#045:抗JMH+抗Sの抗体同定例の(はてな?)

通常、抗JMHなどの高頻度抗原に対する抗体を保有した血漿(血清)では、不規則抗体同定検査及び交差適合試験(主試験)の間接抗グロブリン試験において、使用したすべての赤血球と凝集反応を示します。そのため、臨床的意義のある主な血液型抗原に対する抗体…

#044:JMH抗原と抗JMHの(はてな?)

JHM抗原は、赤血球上に存在する高頻度抗原でありISBTの血液型リストでは26番目(ISBT026)の血液型システムです。JMHは、抗体保有者のJohn Milton Hagenに因んで命名されました。JMH-型の殆どは高齢者に多く見られ、後天的(又は一過性)にJMH抗原が減弱し…

#043:抗Ch、抗Rgの同定方法の(はてな?)

抗Ch、抗Rgは間接抗グロブリン試験でのみ検出される抗体であり、検査した赤血球間で凝集の強弱が著しく、抗体価が高いにもかかわらず、Rh系抗体などの様な強固な凝集を示すことは稀で試験管を振っていくうちにどんどん崩れてしまうHTLA(High Titer Low Avid…

#042:Chido、Rodgers血液型とその抗体の特徴の(はてな?)

Chido(Ch)とRodgers(Rg)抗原は、補体成分のC4と関連があり、C4AにはRg抗原が、C4BにはCh抗原が存在します。Chido/Rodgers血液型は本質的には赤血球膜に発現する抗原ではなく、補体成分が赤血球上に結合し抗原性を示します。そのため、個々の血球によって抗原…

#041:抗Jraによる胎児貧血の(はてな?)

抗Jra保有者へやむを得ずJra抗原陽性赤血球を輸血した際、その後抗体価の顕著な上昇を認めますが、遅発性溶血性輸血反応(DHTR)を呈する例は稀であるため、抗Jraの臨床的意義は低いという認識になってきています。しかし、JR母児不適合妊娠では、重篤な胎児…

#040:抗Jra保有者はなぜ女性に多い!の(はてな?)

抗Jraは、赤血球上に存在する高頻度抗原であるJra抗原に対する抗体であり、Jr(a-)型個体が輸血又は妊娠による同種免疫で抗体を保有します。日本人から検出されている高頻度抗原に対する抗体の内訳をみると圧倒的に抗Jraの検出率が高く、検出された高頻度抗原…

#039:抗Jraの性状及びHTLA抗体の(はてな?)

抗Jraは、赤血球上のJra抗原を欠いたJr(a-)型(まれな血液型)個体が妊娠又は輸血による同種免疫によって保有する高頻度抗原に対する抗体です。通常、抗Jraは間接抗グロブリン試験において、検査した全ての同種赤血球と陽性反応を示します(自己対照赤血球は…

#038:Jr(a-)型及びJr(a+w)型の遺伝子背景の(はてな?)

赤血球膜上の高頻度抗原であるJra抗原はABCG2遺伝子によってコードされています。ABCG2遺伝子は父親と母親から1つずつ遺伝子を受け継ぎますが、ナル型遺伝子のホモ接合の場合にJr(a-)型の表現型(まれな血液型)になります。従って、両親の一方からJr(a+)型…

#037:JR血液型が確立されるまでの(はてな?)

Jra抗原は赤血球膜上に存在する高頻度抗原であり、Jr(a-)型個体はまれな血液型です。日本人から検出される高頻度抗原に対する抗体の中で、抗Jraは6割程度を占めるメジャーな抗体ですが、10年前まではJra抗原を担うタンパクやその原因遺伝子も未解明でした。…

#036:自己抗体によるDAT陽性赤血球の体内破壊の(はてな?)

これまで、#30から#35の記事に抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)の性状、自己抗体の血液型特異性、同種抗体の混在を調べる吸着方法、DAT陽性のEA(酸)処理及び単球貪食試験による自己抗体の臨床的意義についてシェアしてきました。ここでは、最終として…

#035:単球貪食試験による自己抗体評価の(はてな?)

温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)は、自己赤血球を含む全ての赤血球を一様に凝集するため、パネル赤血球との反応性だけでは自己抗体の臨床的意義(輸血した血液の生体内での溶血)を予測することは困難です。ここでは、単球貪食試験による自己抗体評…

#034:DAT陽性赤血球のEA(酸)処理の(はてな?)

直接抗グロブリン試験(以下、DAT)が陽性になる原因は様々ですが、抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)が感作した場合もDAT陽性となります。DAT陽性のままでは、間接抗グロブリン試験で判定する血液型タイピングができません。また、自己赤血球で自己抗体を…

#033:自己赤血球を用いた自己抗体吸着の(はてな?)

血漿(血清)中に、間接抗グロブリン試験で3+以上の反応を示す温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)が存在した場合、そのままでは輸血上重要な同種抗体の混在を確認することができません。そのため、通常は自己赤血球又は同種赤血球を用いて自己抗体を吸…

#032:自己抗体に混在した同種抗体の検出の(はてな?)

自己抗体を保有した血漿(血清)の反応は、通常使用した全ての赤血球と陽性反応を示すため、同種抗体が混在しても簡単には見極めができません。抗体価の低い(反応が弱い)自己抗体+抗体価の高い(反応が強い)同種抗体の混在であれば、その反応強度からあ…