血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#027:ABOオモテ検査の予期せぬ反応の(はてな?)

ABO血液型の判定は、既知の抗A及び抗B試薬を用いて赤血球側の抗原を調べる「オモテ検査」とA1型及びB型赤血球試薬を用いて被検者血漿(血清)中の規則抗体である抗A、抗Bの有無を調べる「ウラ検査」があります。両者が一致した場合にのみABO血液型が確定され…

#026:PolyagglutinationとAcquired B(後天性B)の(はてな?)

Polyagglutination(汎凝集反応)とは、細菌や感染症を伴う患者赤血球が、ヒト血漿(血清)と血液型とは無関係に凝集する現象です。ここでは、PolyagglutinationとAcquired B(後天性B)の(はてな?)についてシェアしたいと思います。

#025:Bombay型、para-Bombay型の(はてな?)

Bombay(Oh)型は、赤血球にA型及びB型物質を欠き、抗A及び抗B試薬とは陰性であることから一見O型に見えます。通常のO型と違う点は、赤血球と唾液中にH型物質を欠き、血清中には強い抗Hを保有するため、O型赤血球とも凝集(自己赤血球以外全て)する点です。…

#024:partial Dの(はてな?)

RhDの中には、抗D試薬との反応が通常のD陽性よりも弱い凝集を呈するweak Dの他に、partial Dと呼ばれるD亜型が存在します。partial DはRhDプリペプチドの膜表面のアミノ酸置換によって一部のDエピトープを欠いているため、一部のモノクローナル抗体とは反応…

#023:weak Dの(はてな?)

RhDの中には、抗D試薬との反応が通常のD陽性よりも弱い凝集を呈するweak Dが存在します。weak DのD抗原量に明確な定義がないため、抗Dとの反応は即時判定で少し弱いものから間接抗グロブリン試験で1+程度の凝集のものまで様々です。ここでは、weak Dの(は…

#022:D- -と抗Rh17の(はてな?)

D- -(ディー・ダッシュ・ダッシュ)表現型は、抗Dとは反応するが、抗C、抗c、抗E、抗eとは反応しないRh表現型です。D- -型に発現しているRh抗原は、D、G、Rh29のみと考えられています。D- -型個体はRh血液型の高頻度抗原であるRH17抗原を欠くため、妊娠又は…

#021:Del(DEL)型の(はてな?)

RhD血液型は、抗Dとの反応性からD陽性、D陰性に大別されます。Del(DEL)型とは、D陰性赤血球を抗D試薬で吸着解離試験した際に解離液中に抗Dの特異性が確認される表現型(赤血球上に微量のD抗原が存在)です。Del(DEL)型は日常検査(D確認試験)ではD陰性…

#020:抗Gの同定法の(はてな?)

Rh血液型システムには現在55抗原が確認されています。そのうち、G抗原(Rh12)は、D+又はC+の赤血球に存在する抗原です。抗Gを含む血漿(血清)と不規則抗体同定用パネル赤血球の反応では抗D+抗Cの反応パターンが観察されるのが特徴です。ここでは、抗Gの…

#019:Rh蛋白の複合抗原に対する抗体の(はてな?)

妊娠又は輸血歴等の同種免疫によって自分の赤血球上にない抗原に対する不規則抗体(同種抗体)が産生されますが、その抗体特異性は様々です。その中でも日本人ではRh系の特異性を示す抗体の検出頻度が比較的高く、単一の特異性又は複数抗体が示唆される例が…

#018:不規則抗体の絞り込みの(はてな?)

不規則抗体とは、抗A、抗B以外の赤血球上の血液型抗原に対する抗体の総称であり、妊娠又は輸血等の同種免疫によって産生される同種抗体と赤血球の刺激を受けていないにも関わらず保有する自然抗体があります。それぞれの抗体には反応性の違いがあるため、抗…

#017:低頻度抗原に対する抗体の(はてな?)

各国の集団の中で抗原陽性の人が稀にしかいない血液型抗原を低頻度抗原といいます。その抗原の出現頻度は1%以下であり、既知の血液型システムに属する抗原と属さない抗原があります。血液型システムに属さない抗原はISBT(国際輸血学会)では700シリーズ(…

#016:ブロメリン試薬に対する非特異反応の(はてな?)

不規則抗体検査及び交差適合試験を実施する際には、生理食塩液法(以下、Sal法)、間接抗グロブリン試験(以下、IAT)に加えて、ブロメリン一段法が行われている場合がありますが、非特異反応を呈し輸血を躊躇する場合があります。ここではブロメリン試薬に…

#015:不規則抗体同定の必要性の(はてな?)

輸血を受ける患者さんが赤血球抗原に対する不規則抗体を保有している場合、その抗体の同定(特異性の決定)は、抗体の臨床的意義を判断するために必要であり、それは輸血用血液を事前に準備するためにも必要です。ここでは、不規則抗体同定の必要性の(はて…

#014:交差適合試験の必要性の(はてな?)

交差適合試験は、赤血球製剤の輸血前に実施する安全性確保の最後の砦であり、患者血漿(血清)中に存在する血液型抗原に対する抗体によって輸血された血液が破壊される(免疫学的な溶血反応)のを未然に防止する目的で実施されます。ここでは、交差適合試験…

#013:間接抗グロブリン試験に用いる反応増強剤の(はてな?)

不規則抗体同定において、反応が弱い抗体では試験管を観察(静かに振る)しているうちに凝集がなくなり判定に苦慮する場合があります。また、1+程度の凝集よりも2~3+以上の凝集があれば、輸血検査に不慣れな担当者でも判定に迷わないと誰もが思うことです…