血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#012:PEG-IATが弱陽性の場合の(はてな?)

不規則抗体検査で実施するポリエチレングリコール(以下、PEG)を添加した間接抗グロブリン試験(以下、PEG-IAT)は、主な血液型抗原に対するIgG性抗体の検出に優れています。LISS-IATや60分加温-IATに比べPEG-IATでは1~2グレード凝集が強くなる反面、非特…

#011:冷式抗体保有時のABOウラ検査の(はてな?)

不規則抗体検査において、食塩液法(室温)の即時判定で3+~4+の凝集が観察される場合は、ABO血液型のウラ検査にも影響を及ぼすため、正しく血液型判定が出来ない場合があります。その原因の多くは、低温反応性の冷式抗体が原因です。ここでは、冷式抗体保有…

#010:冷式抗体の性状に関する(はてな?)

不規則抗体検査において、低温(20℃や4℃)での反応相で強く反応し、37℃相では反応しない抗体を冷式抗体といい、対応抗原が陽性の血液を輸血しても臨床的には無害と考えられています。日常検査で遭遇し、これらの性質を示す抗体には、抗I、抗IH(抗HIともいう…

#009:B(A)血液型の(はてな?)

B(A)とは、本質的にはB型ですが、一部のモノクローナル抗Aや動物免疫抗Aと微弱な凝集を認めるB型についた呼び名である。同様の反応を認めるAB型の亜型であるAxB(本質的にはAB型)との鑑別が重要となる。ここでは、B(A)血液型についてシェアしたいと思います…

#008:シスAB型の(はてな?)

ABO血液型は糖転移酵素の特異性により決定されます。一つの対立遺伝子がAとBの特異性を有する遺伝子をシスAB遺伝子といいます。そもそも、シスAB型の発見のきっかけは、AB型とO型の両親からAB型の子供が生まれたことがきっかけとなっています。ここでは、ABO…

#007:ABO遺伝子の(はてな?)

ABO血液型では、ABO遺伝子産物は赤血球上のA抗原、B抗原ではなく、土台のH抗原にA型物質のN-アセチルガラクトサミン又はB型物質のD-ガラクトースを触媒する糖転移酵素です。つまり、通常ABO遺伝子と言っているのは、A、B糖転移酵素(以下、A-Tf、B-Tf)をコ…

#006:ヒト血漿(血清)中の抗A及び抗Bの(はてな?)

ヒト血漿(血清)中には、規則抗体としてA型個体には抗Bが、B型個体には抗Aが、O型個体には抗A及び抗Bと抗A,B(エーカンマビー)が存在します。通常、A型やB型の血漿(血清)中の抗Bや抗Aは、主にIgM性抗体が大半を占め、IgG性抗体は妊娠歴などがない場合は…

#005:爪を用いたABO型判定の(はてな?)

ABO血液型には種々の亜型が存在し、血清学的で詳細なカテゴリーを分類するには、様々な精査を行う必要があります。また、術者の経験、技術及び知識が少なからず必要になってきます。そこで、ここでは爪を用いたABO型判定についてシェアしたいと思います。

#004:唾液中のABH型物質の(はてな?)

唾液中には赤血球のABO血液型と一致した型物質が含まれていますが、型物質が多い人と、少量の人がいます。前者を分泌型(個体)、後者を非分泌型(個体)と呼んでいます。分泌型、非分泌型という呼び方は唾液中のABH型物質について使われます。ここでは唾液…

#003:ドリコスレクチンを用いたA/Oキメラの分離の(はてな?)

血液型キメラには、A型とB型、B型とAB型、A型とO型、AB型とO型など、様々な組み合わせが存在します。その際、2つの血液型を持つ赤血球集団を分離し、互いの血液型(ABO以外)を検査することで、血液型キメラと決定する一助になります。つまり、ABO以外にも他…

#002:血液型キメラの(はてな?)

ABO血液型判定のオモテ検査において、時々抗A又は抗B試薬と一塊の凝集が観察されるものの、背景に濁りを生じている場合があります。これは、部分凝集(mixed field agglutination、MFともいう)と呼ばれています。このような反応を呈する例として、A3、B3以…

#001:血液型システム(系列)の(はてな?)

ヒト赤血球上に存在する血液型と言えば、、殆どの人が真っ先に思い浮かぶのはABO血液型です。しかし、赤血球上にはABO血液型以外にも多くの血液型が存在しています。2019年時点で、国際的に承認されている血液型(国際輸血学会の血液型リストに登録されてい…