Rh血液型システムには現在55抗原が確認されています。そのうち、G抗原(Rh12)は、D+又はC+の赤血球に存在する抗原です。抗Gを含む血漿(血清)と不規則抗体同定用パネル赤血球の反応では抗D+抗Cの反応パターンが観察されるのが特徴です。ここでは、抗Gの…
妊娠又は輸血歴等の同種免疫によって自分の赤血球上にない抗原に対する不規則抗体(同種抗体)が産生されますが、その抗体特異性は様々です。その中でも日本人ではRh系の特異性を示す抗体の検出頻度が比較的高く、単一の特異性又は複数抗体が示唆される例が…
不規則抗体とは、抗A、抗B以外の赤血球上の血液型抗原に対する抗体の総称であり、妊娠又は輸血等の同種免疫によって産生される同種抗体と赤血球の刺激を受けていないにも関わらず保有する自然抗体があります。それぞれの抗体には反応性の違いがあるため、抗…
各国の集団の中で抗原陽性の人が稀にしかいない血液型抗原を低頻度抗原といいます。その抗原の出現頻度は1%以下であり、既知の血液型システムに属する抗原と属さない抗原があります。血液型システムに属さない抗原はISBT(国際輸血学会)では700シリーズ(…
不規則抗体検査及び交差適合試験を実施する際には、生理食塩液法(以下、Sal法)、間接抗グロブリン試験(以下、IAT)に加えて、ブロメリン一段法が行われている場合がありますが、非特異反応を呈し輸血を躊躇する場合があります。ここではブロメリン試薬に…
輸血を受ける患者さんが赤血球抗原に対する不規則抗体を保有している場合、その抗体の同定(特異性の決定)は、抗体の臨床的意義を判断するために必要であり、それは輸血用血液を事前に準備するためにも必要です。ここでは、不規則抗体同定の必要性の(はて…
交差適合試験は、赤血球製剤の輸血前に実施する安全性確保の最後の砦であり、患者血漿(血清)中に存在する血液型抗原に対する抗体によって輸血された血液が破壊される(免疫学的な溶血反応)のを未然に防止する目的で実施されます。ここでは、交差適合試験…
不規則抗体同定において、反応が弱い抗体では試験管を観察(静かに振る)しているうちに凝集がなくなり判定に苦慮する場合があります。また、1+程度の凝集よりも2~3+以上の凝集があれば、輸血検査に不慣れな担当者でも判定に迷わないと誰もが思うことです…
不規則抗体検査で実施するポリエチレングリコール(以下、PEG)を添加した間接抗グロブリン試験(以下、PEG-IAT)は、主な血液型抗原に対するIgG性抗体の検出に優れています。LISS-IATや60分加温-IATに比べPEG-IATでは1~2グレード凝集が強くなる反面、非特…
不規則抗体検査において、食塩液法(室温)の即時判定で3+~4+の凝集が観察される場合は、ABO血液型のウラ検査にも影響を及ぼすため、正しく血液型判定が出来ない場合があります。その原因の多くは、低温反応性の冷式抗体が原因です。ここでは、冷式抗体保有…
不規則抗体検査において、低温(20℃や4℃)での反応相で強く反応し、37℃相では反応しない抗体を冷式抗体といい、対応抗原が陽性の血液を輸血しても臨床的には無害と考えられています。日常検査で遭遇し、これらの性質を示す抗体には、抗I、抗IH(抗HIともいう…
B(A)とは、本質的にはB型ですが、一部のモノクローナル抗Aや動物免疫抗Aと微弱な凝集を認めるB型についた呼び名である。同様の反応を認めるAB型の亜型であるAxB(本質的にはAB型)との鑑別が重要となる。ここでは、B(A)血液型についてシェアしたいと思います…
ABO血液型は糖転移酵素の特異性により決定されます。一つの対立遺伝子がAとBの特異性を有する遺伝子をシスAB遺伝子といいます。そもそも、シスAB型の発見のきっかけは、AB型とO型の両親からAB型の子供が生まれたことがきっかけとなっています。ここでは、ABO…
ABO血液型では、ABO遺伝子産物は赤血球上のA抗原、B抗原ではなく、土台のH抗原にA型物質のN-アセチルガラクトサミン又はB型物質のD-ガラクトースを触媒する糖転移酵素です。つまり、通常ABO遺伝子と言っているのは、A、B糖転移酵素(以下、A-Tf、B-Tf)をコ…
ヒト血漿(血清)中には、規則抗体としてA型個体には抗Bが、B型個体には抗Aが、O型個体には抗A及び抗Bと抗A,B(エーカンマビー)が存在します。通常、A型やB型の血漿(血清)中の抗Bや抗Aは、主にIgM性抗体が大半を占め、IgG性抗体は妊娠歴などがない場合は…