血液型検査のサポートBlog

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#115:ケーススタディー(Episode:15)O型が保有する抗A,Bの反応がポイントになるBx型

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 ABO血液型には、多種多様の亜型が存在します。オモテ検査の抗Aと陰性、抗Bとはw+~1+程度の微弱な反応を認め、ウラ検査ではA型赤血球と4+、B型赤血球と1+~2+と反応し、オモテ・ウラ不一致の場合があります。オモテ検査の抗Bとの反応が顕著に弱いことから、ウラ検査のB型赤血球との反応は不規則性抗Bの可能性が高いことが想定されます。スライド法による検査では2分では凝集も微弱であり、非常に細かい凝集が観察されます。このオモテ・ウラの反応から、B又はBなどの亜型が想定されます。

 血清学的検査による亜型の分類は、亜型の定義も明確ではないため非常に難しく、豊富な経験と血液型に関する知識も必要になります。輸血を前提とした検査と考えるのであれば、血清中に保有する抗A、抗Bが37℃相で反応するか否かが重要ですが、表現型のカテゴリーを分類しようと思うと、全てが白黒はっきりできるものでもありません。従って、これまでのカテゴリー分類のどちらに近いかで分類していくしかありません。現在では、ABO遺伝子解析も併用できるようになり、どの領域に遺伝子変異があるか調べることが可能になりましたが、ABO血液型では、同じ表現型から複数の対立遺伝子が同定されているため、亜型と遺伝子変異が1:1の関係にはなりません。従って、最後は血清学の反応から分類することになります。

 

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 今回の例では、抗Bとの凝集が非常に弱く、典型的なB型よりも反応が弱いためB型が疑われました。その理由の一つは、血清中に不規則性の抗Bを保有していることです。血漿中のB転移酵素は認められていないため、エキソン6,7領域に一塩基置換等の変異があることが想定されていますので、陽性割合が少ないB/Oキメラの可能性は低いと考えられます。FCM解析においても、ほぼ陰性対象のO型に重なるヒストグラムパターンを示し、抗原量が少ないことがわかります。また、この個体はABH分泌型でしたが、唾液中のB型物質は検出されませんでした。

 このように微弱な反応に遭遇した場合に実施することは2つあります。一つは、O型血清(抗A,B)と抗B試薬との反応性を比較すること、もう一つは抗B及び抗A,B(O型血清)を用いて吸着解離試験を行うことです。抗Bとの微弱な反応が非特異反応ではなく、リアルな反応であれば、吸着解離試験で解離液から抗Bの特異性が確認できます。また、B型はO型個体が保有する抗A,Bと強く反応する性質があります。結果は示しませんが、抗B試薬よりも抗A,Bと強く反応することが確認されました。また吸着解離試験を行った解離液の反応も抗Bで吸着したよりも抗A,Bの方が強い反応でした。この結果から、この検体はB型と判定しました。遺伝子解析の結果においてもB型から検出される遺伝子変異があることがわかりました。

 

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