オモテ検査で抗B試薬と部分凝集を示し、ウラ検査では通常のB型の検体に遭遇する場合があります。スライド法による抗B試薬との反応において、凝集開始時間は若干遅く、時間経過とともに中程度の凝集塊から微小凝集が混在し、反応しない赤血球も認めます。また…
赤血球上のABH抗原は、先天的に抗原量が少ない亜型と主に血液疾患の影響によって後天的にABH抗原量が減少する抗原減弱があります。血液疾患(AMLやMDS等)の影響によって抗原が減弱することは以前から知られていましたが、その原因がABO遺伝子の転写異常によ…
ABO血液型判定において、オモテ検査で部分凝集反応が観察される場合や背景に濁りを生じる場合には、血液型キメラ、疾患による抗原減弱、ABO亜型を疑う必要があります。但し、AB型で抗Bにのみ僅かに濁りを生じるが、オモテ・ウラ一致の場合はとくに深堀りする…
妊娠歴のある女性や妊婦において、自己対照赤血球を除く全ての赤血球と60分加温-間接抗グロブリン試験(60分-IAT)で凝集があり、PEG-IATと比べて凝集の強弱が変わらない場合は、高頻度抗原に対する抗体を疑う必要があります。通常、主な血液型(主要抗原)…
パネル赤血球との反応パターン(陽性及び陰性)が合致したにも関わらず、対応抗原が陰性の血液製剤と反応させると陽性となる場合があります。これは、反応パターンに騙された例です。抗体同定の基本は、合致する・しないだけではなく、抗体の性質、つまりホ…
市販品のパネル赤血球の組成は、半分以上はD陰性であり、Rh表現型がrr、r”r、r’rなどの赤血球ではe抗原が陽性です。D陽性のパネル赤血球においてもR1R1(D+C+E-c-e+)とRor(D+C-E-c+e+)はe抗原が陽性であり、e抗原が陰性のR2R2(D+C-E+c+e-)は1~2本しか…
不規則抗体同定用パネル赤血球との反応性において、凝集の強弱は複数抗体の存在や個々の赤血球抗原量にバラツキがある抗原に対する抗体が存在していることを示唆します。とくに間接抗グロブリン試験(IAT)でのみ反応する場合は、ホモ・ヘテロ接合赤血球で強…
患者は妊娠歴ある女性であり、パネル赤血球との反応においてブロメリン法及び間接抗グロブリン試験(IAT)で明瞭な反応があり、自己対照赤血球が陰性であることから同種抗体と考えるのが普通です。そして、被検者のRh表現型がR2R2型(D+C-E+c+e-)で、ブロメ…
検査した殆どの赤血球と陽性を示した際、自己対照赤血球が陰性であれば、その抗体は同種抗体の可能性が高いと考えます。3+以上の反応の中に陰性があれば、その陰性は真の陰性である可能性が高いと考えます。逆に殆どがw+~1+の凝集の中の陰性は、真の陰性…
LISS-IATやPEG-IATでパネル赤血球と全て弱陽性に反応するような検体に遭遇した場合は、まずはその反応が臨床的意義あるIgG性の同種抗体によるものかを見極める必要があります。自己対照赤血球が陽性の場合は抗赤血球自己抗体の可能性を考えますが、自己赤血…
不規則抗体同定用パネル赤血球との反応を観察した際、殆どの赤血球と陽性になる原因は、①複数抗体の混在、②高頻度抗原に対する抗体、③抗赤血球自己抗体、④抗CD38抗体製剤(DARA等)投与患者、④抗体価が高い冷式抗体(抗I、抗HIなど)などが考えられます。患…
消去法で被検者血漿(血清)とパネル赤血球との反応が陰性の抗原をクロスアウト(消去)していくと、残った抗原と反応パターンが合致しないケースに遭遇する場合があります。このような場合は、推測された抗原の性質に基づいて検査を進めることが重要です。…
不規則抗体同定において、全ての赤血球と陽性ではない場合は、まずは消去法によって抗体の推定を行うこと、そして被検者の主な血液型(表現型)を調べることが可能であれば、血液型(表現型)に基づいて抗体保有の可能性を否定することを行うことである程度…
Mimicking抗体は自己抗体の一種です。Mimickingとは「まねている、擬態」という意味があります。通常、不規則抗体用パネル赤血球との反応において特異性が確認された場合、対応抗原陽性の赤血球で吸着されますが、抗原陰性の赤血球では吸着されません。これ…
Polyagglutinationとは、細菌などの酵素によって赤血球表面のシアル酸が切断され、潜在性のT抗原が露出し、成人のあらゆる血漿(血清)と凝集反応を起こすことです。成人の血漿(血清)中には、これらのT抗原と反応する抗T抗体が抗Aや抗Bなどの規則抗体と同…
レクチンとは、糖鎖と結合する能力を有する抗体以外のタンパク質で細胞や複合糖質を凝集し、単糖又はオリゴ糖によって特異的に阻止される特徴もあります。一般的にレクチンは、植物・動物・微生物等に存在するタンパク質、糖タンパク質のうち、糖に対する特…
ABO血液型はオモテ・ウラ検査のロジックで判定することから、オモテ・ウラ不一致の場合やウラ検査の凝集態度が弱い場合には亜型を考慮する必要があり、ABO血液型判定を躊躇する場合があります。今回はオモテB型でウラ検査の抗Aが弱い場合に考えること!の(…
ABO血液型の決定は、赤血球側のA又はB抗原の有無を調べるオモテ検査と、血漿(血清)中の規則抗体の抗A又は抗Bの有無を調べるウラ検査が一致した際にABO血液型を決定します。オモテ検査の反応において、明らかな部分凝集や反応が弱い場合は、亜型や血液型キ…
RhD血液型は、抗D試薬との反応性からD陽性、D陰性に大別されます。直後判定において陰性の場合は、引き続き間接抗グロブリン試験(IAT)によるD陰性確認試験を行い、最終判定を行います。通常、臨床の現場において抗Dによる吸着解離試験を行うケースは少なく…
抗A又は抗B試薬と直接凝集反応を呈さない亜型(Bm、A1Bm、Ael、Belなど)の場合、吸着解離試験を行い赤血球上に微量に存在する抗原の有無を調べて血液型を決定します。しかし、使用する試薬の問題もあり、予想した結果が得られない場合や非特異反応によって…
ヒト唾液中には、赤血球のABO血液型と同じ型物質が存在します。唾液中に含まれるABH型物質は、亜型個体では赤血球上の抗原が少ないのと同様にABH型物質も少なくなり、亜型と確定するための一つの特徴と位置づけられてきました。また、造血幹細胞移植を行い、…
ABO血液型精査において、亜型や血液型キメラを決定する一助として唾液中の型物質を調べる検査があります。唾液中の型物質や爪のABO型は生涯変わらないため、造血幹細胞移植後や血液型キメラの場合に被検者本来の血液型を調べるには有用な検査となります。唾…
ABO血液型の亜型が疑われた際には、抗A、抗Bによる凝集の強弱(凝集開始時間)や部分凝集反応の有無が観察され、必要に応じてレクチンとの反応性、爪又は唾液中のABH型物質、血漿中糖転移酵素活性などの追加検査が行われます。抗A、抗Bと直接凝集を示さない…
ABmos表現型とは、本質的にはAB型であるものの通常のB抗原量を有する赤血球と抗原量が低下又は様々な抗原量を有する赤血球が混在している表現型です。そのため、抗B試薬と凝集が若干弱くなったり、背景に濁りを生じたりします。これは血液疾患等で観察される…
ABO血液型判定のオモテ検査の抗A又は抗B試薬との反応において、亜型と言うほど抗原量の低下はないものの、僅かに反応しない赤血球がある、又は若干背景に濁りを生じる場合があります。このような検体では通常ウラ検査は正常であり、ABO血液型の判定としては…
赤血球上のABH抗原は、骨髄のGolgi体で糖転移酵素(膜蛋白)の作用によって糖付加されてA型又はB型抗原を有する赤血球が生合成され末梢へ出てきます。新生児では糖転移酵素活性が成人に比べて低いため、A,B抗原量は成人と比べて1/4程度になっています。一方…
抗Leaや抗Lebの抗体は、主にLe(a-b-)表現型個体から検出されます。多くは自然抗体として保有し、主に室温~37℃の比較的温度幅が広い相で反応するIgM性の抗体ですが、中には間接抗グロブリン試験のみで検出されるIgG性の抗Leaも時々検出されます。Le(a-b+)個…
ABO血液型のオモテ検査において抗A又は抗Bと部分凝集を示し、精査の結果、血液型キメラであることが判明することが時々あります。その際、抗A、抗B等を用いて凝集部又は非凝集部に分離し、それぞれの集団を検査するとABO以外にも不一致を認める場合がありま…
ABH分泌型個体のヒト唾液中には、A型個体であればAとH型物質が、B型個体であればBとH物質が、O型個体であればH物質のみが存在しています。輸血検査において、唾液を使用する場面といえば、一般的には亜型等を疑った際のABO血液型精査ですが、実はABOウラ検査…
冷式抗体とは低温相で最も強い反応を示す抗体の総称であり、主にIgM性の抗体です。また、自己赤血球とも反応する抗体は冷式自己抗体と呼び、代表例である抗Iや抗HIは日常検査でも遭遇します。また、抗I、抗HI以外に血液型特異性のないpan-reactiveな反応性を…