血液型検査のサポートBlog

血液型検査(輸血検査)で生じる悩みや疑問(はてな?)をサポートする医療従事者向けのBlogです。

#149:輸血検査のQ&A(抗D試薬を用いた吸着解離試験を行う際の試薬の濃度は?)

ABO血液型判定において、オモテ・ウラ不一致を示す亜型(Bm、A1Bmなど)の際には、抗B試薬を用いた吸着解離試験を行い、赤血球上に微量に存在する抗原(B抗原)を証明します。また、同様に、B型の混合割合が少ない(1%以下)血液型キメラ、例えばB/O(1:99…

#148:輸血検査のQ&A(抗Dとの反応において直後判定とIATの凝集強度が同程度の場合、weak Dを考えますか?)

抗D試薬を用いて試験管法でRhD判定を行う際には、試験管に抗D試薬を滴下し、その後、被検者の赤血球浮遊液を1滴加えて、よく撹拌後、遠心判定します。殆どの場合、3+〜4+の凝集が観察され、D陽性と判定されます。しかし、w+〜1+程度の凝集の場合は、w…

#147:輸血検査のQ&A(抗D試薬と間接抗グロブリン試験で3+程度の凝集の場合、weak Dを考慮する必要がありますか?)

抗D試薬を用いて試験管法でRhD判定を行う際、抗D試薬と被検者赤血球を混和し、遠心判定すると通常のD陽性は3+以上の凝集が観察されます。凝集反応が陰性又は弱陽性の場合は、引き続き37℃で加温後、間接抗グロブリン試験(D確認試験)を行い最終判定しま…

#146:輸血検査のQ&A(Le(a+b-)型の個体では唾液中からABH型物質は検出できませんか?)

通常、唾液中には多量のABH型物質が含まれているため、唾液中の型物質を調べることで、ある程度ABO血液型が判定できます。A型の唾液にはAとH、B型の唾液にはBとH、AB型の唾液にはAとBとH、O型の唾液にはH型物質が含まれます。唾液検査は通常、亜型検査の一部…

#145:輸血検査のQ&A(血漿中のA,B転移酵素活性と赤血球A,B抗原量は相関するの?)

結論からいうと、赤血球の抗原量と血漿中のA,B転移酵素活性には相関がありません。赤血球の抗原量が多少少ない一部の例においては血漿中の転移酵素活性が若干低下している場合もありますが、基本的には赤血球の抗原量と血漿中の転移酵素活性は相関しません。…

#144:輸血検査のQ&A(過去に造血幹細胞移植を行った患者さんの本来の血液型は?)

白血病やMDS(骨髄異形成症候群)などの血液疾患で造血幹細胞移植を行った際、患者さんとABO同型ドナーから移植した場合は、移植後ABO血液型に変化はありません。しかし、ABOが異なるドナーから移植した場合には、移植後に赤血球はドナーの血液型に置き換わ…

#143:輸血検査のQ&A(血液型キメラの際、本来の血液型はどっち?)

血液型キメラとは、一つの個体の中に由来の異なる2つの造血幹細胞が存在することです。例えば、A型とB型の造血幹細胞が一つの個体の中に一生涯共存するため、それぞれの造血幹細胞から分化した細胞(A型赤血球とB型赤血球)が混在する状態です。身近な例で…

#142:輸血検査のQ&A(Ulexレクチンとの反応でA2型はなぜ4+になるのか?)

Ulexレクチン(抗Hレクチン)は、H抗原と反応するレクチンであり、H抗原が多い赤血球と反応します。H抗原は、AやB抗原の土台となる抗原であるため、A、B抗原がないO型ではH抗原が一番多く、逆にA、B抗原があるA1B型が一番少なくなります。通常の赤血球上には…

#141:輸血検査のQ&A(A3とAx、B3とBxはどのように鑑別するの?)

A3とAxはA型の亜型であり、B3とBxはB型の亜型です。どちらもオモテ検査(試験管法)では、抗A又は抗Bと弱い反応(w+〜2+)を示し、スライド法ではしばらく観察しないと凝集が見えてきません。教科書的には抗原量の多い方がA3やB3であり、さらに少ないも…

#140:輸血検査のQ&A(ABOウラ検査が弱い、それって亜型の可能性ある?)

ABO血液型は、オモテ検査とウラ検査が一致した場合のみ血液型が判定されます。定義はありませんが、通常の表現型では、オモテ検査は3+以上の凝集が、ウラ検査でも2+以上の凝集が観察されます。従って、逆を言えば、オモテ検査の2+以下、ウラ検査の1+…

#139:輸血検査のQ&A(抗A又は抗Bの吸着解離が必要なケースは?)

ABO血液型判定のオモテ検査は、被検者赤血球と抗A及び抗B試薬との反応性(凝集の有無)から決定されます。しかし、赤血球上のA又はB抗原が非常に少ない亜型では抗A又は抗B試薬と直接凝集反応を呈さず、一見抗原が無いように見えてしまいます。例えば、日本人…

#138:輸血検査のQ&A(亜型は遺伝子検査のみで確定できるか?)

ABO血液型には多種の亜型が存在しますが、血清学検査で亜型を分類するには多くの経験と亜型に関する知識が必要になります。抗A、抗Bのオモテ検査の反応性、スライド法による部分凝集の有無、ウラ検査の不規則性抗A1又は抗Bの有無、吸着解離試験、血漿中の糖…

#137:輸血検査のQ&A(亜型の患者さんへの輸血)

ABO亜型とは、赤血球上のA型又はB型(又は両方)の抗原が先天的に減少している表現型をいいます。血液疾患(AML、MDSなど)等で一過性(後天的)にABH抗原が減弱した表現型は亜型とは言いません。但し、両者の鑑別は非常に難しく、とくに被検者が血液疾患等…

#136:ケーススタディー(Episode:36)DAT陽性の原因は自己抗体だけではない(鑑別のための検査方法)

直接抗グロブリン試験(以下、DAT)は、赤血球に既に結合している抗体又は免疫グロブリンの存在を明らかにする検査です。一方、間接抗グロブリン試験(以下、IAT)は、被検者血漿(血清)中に抗体等が存在するかを調べる検査です。用語的には「直接」「間接…

#135:ケーススタディー(Episode:35)B型患者が過去にA型ドナーから造血幹細胞移植を行った例

ABO血液型判定は、抗A及び抗B試薬を用いて被検者の赤血球上の抗原を調べる「オモテ検査」と既知のA1型赤血球及びB型赤血球試薬を用いて、被検者血漿(血清)中の規則抗体である抗A又は抗Bの有無を調べる「ウラ検査」があります。オモテ・ウラ検査の結果が一…