MNS血液型には、多くの低頻度抗原が存在します。このようなMNSバリアントのメカニズムはMN抗原が存在するグリコフォリンA(GPA)とグリコフォリンB(GPB)のハイブリッド分子によって生じています。その代表例がMiltenberger抗原群です。ここでは、MNS血液型…
MNS血液型システム(ISBT002)には多型性のM、N、S、sの他に低頻度抗原、高頻度抗原を合わせて現在49抗原が存在し、Rh血液型システムの55抗原に次いで2番目に抗原数が多い血液型システムです。MNS血液型の49抗原のうち、半数以上が低頻度抗原です。ここでは…
Kx血液型はKx抗原の一種類で構成される19番目の血液型システム(ISBT019)です。Kx抗原はX染色体がコードするXK蛋白上に抗原が存在します。Kx抗原が陰性の赤血球ではKell血液型抗原が減少し、McLeod型(表現型)とも呼ばれています。ここでは、Kell抗原減少…
Lan抗原は赤血球上の高頻度抗原であり、抗原を担う蛋白はABC輸送体ファミリーに属するABCB6に存在しています(JR血液型はABCG2)。ISBT(国際輸血学会)では33番目の血液型システムとして登録されています。Lan-型は世界的にもまれな血液型であり、抗Lanの報…
抗I、抗M、抗P1などの低温反応性のIgM性の不規則抗体を保有している血漿(血清)を用いたABO血液型判定のウラ検査では、ABO型に関係なく凝集し、一見ウラ検査がO型に判定される場合があります。しかし、通常実施しているABOウラ検査や不規則抗体スクリーニン…
P血液型(P1)は1927年にLandsteinerとLevineがヒト赤血球免疫ウサギ血清中の抗体を用いて発見した血液型です。近年P転移酵素,Pk転移酵素を担う遺伝子がクローニングされ、その遺伝的背景が明らかとなりP血液型はP1PK血液型にシステム名が変わりました。一…
Cromer血液型は、ISBT(国際輸血学会)では21番目の血液型システムとして、現在19種類の抗原が属し、そのうち、Cra、Tca、Dra、Esa、IFC、WESb、UMCを含む16種類の高頻度抗原と低頻度抗原であるTcb、Tcc、WESaの3抗原で構成されています。この中で、日本人に…
Knops(ノップス)血液型は、ISBT(国際輸血学会)で22番目の血液型システム(ISBT022)であり、9つの抗原が存在します。Knops抗原を担う分子は、補体レセプター1(CR1:complement receptor 1)に存在します。ここでは、凝集の強弱が特徴のKnops系抗体の(…
LW血液型は、ISBT(国際輸血学会)で16番目の血液型システム(ISBT016)として登録されています。表現型は、LW(a+b-)、LW(a+b+)、LW(a-b+)が知られ、人種を問わず遺伝的なLW(a-)は世界的にも稀であり日本人でも1例のみ知られている。通常抗LWといっているの…
抗Jra、抗JMH、抗KANNOは赤血球高頻度抗原に対する抗体であり、日本人から比較的多く検出される抗体です。抗Jra、抗KANNOは妊娠歴のある女性から検出率が高く、抗JMHは高齢者からの検出率が比較的高い抗体です。これらの抗体はHTLA(High Titer Low Avidity…
抗KANNOは、日本人から検出される赤血球高頻度抗原に対する抗体の中で、抗Jra、抗JMHに次いで検出率が高い高頻度抗原に対する抗体です。抗Jraと同様に女性(とくに妊婦)から検出されることが多い抗体です。ここでは、妊婦が保有する抗KANNOの(はてな?)に…
約30年間、抗原を担う分子が解明されなかったKANNO抗原ですが、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いた手法によって、第20番染色体短腕(20p13)のPRNP遺伝子にコードされたプリオン蛋白上に存在することがようやく分かりました。プリオン遺伝子(PRNP遺伝子…
KANNO抗原分子の解析は、これまでに免疫沈降法やイムノブロッティング法が検討されましたが解明されていませんでした。そもそも抗KANNOはHTLA抗体の性質のため抗原抗体反応が弱いことが要因でした。そこで、ゲノム解析から絞り込む方法を用いてKANNO抗原を担…
1991年に既知の特異性と合致しない高頻度抗原に対する抗体が検出され、対応する抗原を発端者に因み暫定的にKANNO抗原、抗体を抗KANNOと名付けました。当時新たな血液型の可能性が示唆され、その後もKANNO抗原分子の解析が行われましたが解明には至りませんで…
通常、抗JMHなどの高頻度抗原に対する抗体を保有した血漿(血清)では、不規則抗体同定検査及び交差適合試験(主試験)の間接抗グロブリン試験において、使用したすべての赤血球と凝集反応を示します。そのため、臨床的意義のある主な血液型抗原に対する抗体…