Chido(Ch)とRodgers(Rg)抗原は、補体成分のC4と関連があり、C4AにはRg抗原が、C4BにはCh抗原が存在します。Chido/Rodgers血液型は本質的には赤血球膜に発現する抗原ではなく、補体成分が赤血球上に結合し抗原性を示します。そのため、個々の血球によって抗原…
抗Jra保有者へやむを得ずJra抗原陽性赤血球を輸血した際、その後抗体価の顕著な上昇を認めますが、遅発性溶血性輸血反応(DHTR)を呈する例は稀であるため、抗Jraの臨床的意義は低いという認識になってきています。しかし、JR母児不適合妊娠では、重篤な胎児…
抗Jraは、赤血球上に存在する高頻度抗原であるJra抗原に対する抗体であり、Jr(a-)型個体が輸血又は妊娠による同種免疫で抗体を保有します。日本人から検出されている高頻度抗原に対する抗体の内訳をみると圧倒的に抗Jraの検出率が高く、検出された高頻度抗原…
抗Jraは、赤血球上のJra抗原を欠いたJr(a-)型(まれな血液型)個体が妊娠又は輸血による同種免疫によって保有する高頻度抗原に対する抗体です。通常、抗Jraは間接抗グロブリン試験において、検査した全ての同種赤血球と陽性反応を示します(自己対照赤血球は…
赤血球膜上の高頻度抗原であるJra抗原はABCG2遺伝子によってコードされています。ABCG2遺伝子は父親と母親から1つずつ遺伝子を受け継ぎますが、ナル型遺伝子のホモ接合の場合にJr(a-)型の表現型(まれな血液型)になります。従って、両親の一方からJr(a+)型…
Jra抗原は赤血球膜上に存在する高頻度抗原であり、Jr(a-)型個体はまれな血液型です。日本人から検出される高頻度抗原に対する抗体の中で、抗Jraは6割程度を占めるメジャーな抗体ですが、10年前まではJra抗原を担うタンパクやその原因遺伝子も未解明でした。…
これまで、#30から#35の記事に抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)の性状、自己抗体の血液型特異性、同種抗体の混在を調べる吸着方法、DAT陽性のEA(酸)処理及び単球貪食試験による自己抗体の臨床的意義についてシェアしてきました。ここでは、最終として…
温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)は、自己赤血球を含む全ての赤血球を一様に凝集するため、パネル赤血球との反応性だけでは自己抗体の臨床的意義(輸血した血液の生体内での溶血)を予測することは困難です。ここでは、単球貪食試験による自己抗体評…
直接抗グロブリン試験(以下、DAT)が陽性になる原因は様々ですが、抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)が感作した場合もDAT陽性となります。DAT陽性のままでは、間接抗グロブリン試験で判定する血液型タイピングができません。また、自己赤血球で自己抗体を…
血漿(血清)中に、間接抗グロブリン試験で3+以上の反応を示す温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)が存在した場合、そのままでは輸血上重要な同種抗体の混在を確認することができません。そのため、通常は自己赤血球又は同種赤血球を用いて自己抗体を吸…
自己抗体を保有した血漿(血清)の反応は、通常使用した全ての赤血球と陽性反応を示すため、同種抗体が混在しても簡単には見極めができません。抗体価の低い(反応が弱い)自己抗体+抗体価の高い(反応が強い)同種抗体の混在であれば、その反応強度からあ…
温式の抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)の殆どは、自己赤血球を含む全ての赤血球と反応し、その殆どは赤血球膜蛋白(Rh蛋白、Band3、GPAなど)を認識するpan-reactiveな性質(血液型特異性のない性質)を示す自己抗体です。しかし、時々Rh抗原(D,C,E,c,e…
通常検出される殆どの温式抗赤血球自己抗体(以下、自己抗体)は、主要な血液型抗原に関係なく検査したすべての赤血球と陽性反応を示すため、pan-reactiveな自己抗体(または血液型特異性のない自己抗体)と呼ばれています。しかし、まれな表現型赤血球を用…
抗Iは寒冷凝集素とも呼ばれる冷式自己抗体です。赤血球上のI抗原は生後から成人にかけてi抗原からI抗原へ変化するため、通常は成人赤血球のI抗原は陽性です(成人のI-型はまれな血液型です)。抗Iは自分の赤血球上のI抗原とも反応するため冷式自己抗体と分類…
ABO血液型の判定には、「オモテ検査」と「ウラ検査」があります。ウラ検査は被検者血漿(血清)中の抗A、抗Bを検出する検査ですが、オモテ検査から予想される結果とウラ検査の結果が異なる場合があります。ここでは、ABOウラ検査の予期せぬ反応についてシェ…